tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~』三上延

ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~ (メディアワークス文庫)作者:三上 延KADOKAWAAmazon 春の霧雨が音もなく降り注ぐ北鎌倉。古書に纏わる特別な相談を請け負うビブリアに、新たな依頼人の姿があった。 ある古書店の跡取り息子の死により遺された…

『勿忘草の咲く町で 安曇野診療記』夏川草介

勿忘草の咲く町で 安曇野診療記 (角川文庫)作者:夏川 草介KADOKAWAAmazon 美琴は松本市郊外の梓川病院に勤めて3年目の看護師。風変わりな研修医・桂と、地域医療ならではの患者との関わりを通じて、悩みながらも進む毎日だ。口から物が食べられなくなったら…

2022年5月の注目文庫化情報

5/10:『傑作はまだ』 瀬尾まいこ (文春文庫) 5/30:『カゲロボ』 木皿泉 (新潮文庫) 寒すぎず暑すぎず、よい季節になってきましたね。 ちょうどよい気候の時期というのは短いので、大事に過ごしたいものです。 さて、5月はあまりこれといった文庫新刊はあり…

『うしろから歩いてくる微笑』樋口有介

うしろから歩いてくる微笑 (創元推理文庫 M ひ 3-18)作者:樋口 有介東京創元社Amazon 鎌倉在住の薬膳研究家、もちろん美女と知り合った柚木草平。高校時代に失踪した同級生の目撃情報が鎌倉周辺で増えているので調べてほしいと、彼女に頼まれる。早速、鎌倉…

『ベルリンは晴れているか』深緑野分

ベルリンは晴れているか (ちくま文庫)作者:深緑 野分筑摩書房Amazon 1945年7月、ナチス・ドイツの敗戦で米ソ英仏の4カ国統治下におかれたベルリン。ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が米国製の歯磨き粉に含まれた毒による不審死を遂げる。米国の兵員…

『きたきた捕物帖』宮部みゆき

【Amazon.co.jp 限定】きたきた捕物帖 (特典:スマホ壁紙画像データ配信) (PHP文芸文庫)作者:宮部 みゆきPHP研究所Amazon まだ下っ端の見習い岡っ引きの北一(16歳)は、亡くなった千吉親分の本業だった文庫売り(本や小間物を入れる箱を売る商売)で生計を立…

『流浪の月』凪良ゆう

流浪の月 (創元文芸文庫 LA な 1-1)作者:凪良 ゆう東京創元社Amazon あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。再会…

『Blue』葉真中顕

Blue (光文社文庫)作者:葉真中顕光文社Amazon 平成15年に発生した一家殺人事件。最有力容疑者である次女は薬物の過剰摂取のため浴室で死亡。事件は迷宮入りした。時は流れ、平成31年4月、桜ヶ丘署の奥貫綾乃は「多摩ニュータウン男女二人殺害事件」の捜査に…

2022年4月の注目文庫化情報

4/7:『祝祭と予感』 恩田陸 (幻冬舎文庫) 4/21:『イエロー・サブマリン 東京バンドワゴン』 小路幸也 (集英社文庫) 4/28:『うつくしが丘の不幸の家』 町田そのこ (創元文芸文庫) すっかり春ですね。 日中は暖かいですが、朝晩は冷え込むこともあり、体調…

『ムゲンのi』知念実希人

ムゲンのi(上) (双葉文庫)作者:知念 実希人双葉社Amazonムゲンのi(下) (双葉文庫)作者:知念 実希人双葉社Amazon 若き女医・識名愛衣は不思議な出会いに導かれ、人智を超える事件と難病に挑む。 眠りから覚めない四人の患者、猟奇的連続殺人、魂の救済〈マグ…

『惑 まどう』アミの会 (仮)

惑 まどう (実業之日本社文庫)作者:アミの会(仮),大崎 梢,加納 朋子,今野 敏,永嶋 恵美,法月 綸太郎,松尾 由美,光原 百合,矢崎 存美実業之日本社Amazon 数多くの傑作アンソロジーを生み出してきた実力派女性作家集団「アミの会(仮)」が、豪華ゲストを迎えて…

2022年3月の注目文庫化情報

3/3:『きたきた捕物帖』 宮部みゆき (PHP文芸文庫) 3/14:『ベルリンは晴れているか』 深緑野分 (ちくま文庫) 3/19:『うしろから歩いてくる微笑』 樋口有介 (創元推理文庫) 3/19:『キネマトグラフィカ』 古内一絵 (創元文芸文庫) 3/23:『勿忘草の咲く町…

『迷 まよう』アミの会 (仮)

迷 まよう (実業之日本社文庫)作者:アミの会(仮),大沢 在昌,乙一,近藤 史恵,篠田 真由美,柴田 よしき,新津 きよみ,福田 和代,松村 比呂美実業之日本社Amazon 数多くの傑作アンソロジーを生み出してきた実力派女性作家集団「アミの会(仮)」が、豪華ゲストを迎…

『線は、僕を描く』砥上裕將

線は、僕を描く (講談社文庫)作者:砥上 裕將講談社Amazon 「できることが目的じゃないよ。やってみることが目的なんだ」 家族を失い真っ白い悲しみのなかにいた青山霜介は、バイト先の展示会場で面白い老人と出会う。その人こそ水墨画の巨匠・篠田湖山だった…

『ノースライト』横山秀夫

ノースライト (新潮文庫)作者:横山 秀夫新潮社Amazon 北からの光線が射しこむ信濃追分のY邸。建築士・青瀬稔の最高傑作である。通じぬ電話に不審を抱き、この邸宅を訪れた青瀬は衝撃を受けた。引き渡し以降、ただの一度も住まれた形跡がないのだ。消息を絶っ…

2022年2月の注目文庫化情報

2/4:『惑 まどう』 アミの会 (仮) (実業之日本社文庫) 2/9:『ムゲンのi (上)(下)』 知念実希人 (双葉文庫) 2/15:『カエルの小指 a murder of crows』 道尾秀介 (講談社文庫) 2/15:『Blue』 葉真中顕 (光文社文庫) 2/26:『流浪の月』 凪良ゆう (創元文芸…

『だから殺せなかった』一本木透

だから殺せなかった (創元推理文庫 M い 13-1)作者:一本木 透東京創元社Amazon 「おれは首都圏連続殺人事件の真犯人だ」。大手新聞社の社会部記者の許に届いた一通の手紙。送り主は「ワクチン」と名乗り、首都圏全域を震撼させる連続殺人の凶行を詳述したう…

『平場の月』朝倉かすみ

平場の月 (光文社文庫)作者:朝倉かすみ光文社Amazon 須藤が死んだと聞かされたのは、小学校中学校と同窓の安西からだ。須藤と同じパート先だったウミちゃんから聞いたのだという。青砥は離婚して戻った地元で、再会したときのことを思い出す。検査で行った病…

『中野のお父さんは謎を解くか』北村薫

中野のお父さんは謎を解くか (文春文庫 き 17-13)作者:北村 薫文藝春秋Amazon 運動神経抜群の編集者・田川美希の毎日は、本や小説にまつわる謎に見舞われ忙しい。 松本清張の「封印」作品の真実、 太宰治作品中の意味不明な言葉、 泉鏡花はなぜ徳田秋声を殴…

『フーガはユーガ』伊坂幸太郎

フーガはユーガ (実業之日本社文庫)作者:伊坂 幸太郎実業之日本社Amazon 常盤優我は仙台市内のファミレスで一人の男に語り出す。 双子の弟・風我のこと、幸せでなかった子供時代のこと、そして、彼ら兄弟だけの、誕生日にだけ起きる不思議な現象、「アレ」の…

2022年1月の注目文庫化情報

1/4:『記憶の中の誘拐 赤い博物館』 大山誠一郎 (文春文庫) 1/21:『木曜日の子ども』 重松清 (角川文庫) 1/21:『明日はきっと お仕事小説アンソロジー』 坂木司 ほか (角川文庫) 1/28:『同潤会代官山アパートメント』 三上延 (新潮文庫) 1/28:『歩道橋…

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』相沢沙呼

medium 霊媒探偵城塚翡翠 (講談社文庫)作者:相沢 沙呼講談社Amazon 死者が視える霊媒・城塚翡翠と、推理作家・香月史郎。心霊と論理を組み合わせ真実を導き出す二人は、世間を騒がす連続死体遺棄事件に立ち向かう。証拠を残さない連続殺人鬼に辿り着けるのは…

MY BEST BOOKS OF THE YEAR 2021

あけましておめでとうございます。 今年こそは気軽に行きたいところへ出かけたり、会いたい人に会ったりできる年になるといいですね。 さて、今年最初のブログ更新は、2021年に私が読んだ本のベスト10を発表して新年のごあいさつに代えたいと思います。 昨年…

『ヨルガオ殺人事件』アンソニー・ホロヴィッツ / 山田蘭・訳

ヨルガオ殺人事件 上 (創元推理文庫)作者:アンソニー・ホロヴィッツ東京創元社Amazonヨルガオ殺人事件 下 (創元推理文庫)作者:アンソニー・ホロヴィッツ東京創元社Amazon 『カササギ殺人事件』から2年。クレタ島でホテルを経営する元編集者のわたしを、英国…

『むかしむかしあるところに、死体がありました。』青柳碧人

むかしむかしあるところに、死体がありました。 (双葉文庫)作者:青柳 碧人双葉社Amazon 「浦島太郎」や「鶴の恩返し」といった皆さんご存じの《日本昔ばなし》を、密室やアリバイ、ダイイングメッセージといったミステリのテーマで読み解く全く新しいミステ…

2021年12月の注目文庫化情報

12/3:『迷 まよう』 アミの会 (仮) (実業之日本社文庫) 今年もあと1か月を切りました。 年末恒例の各種ミステリランキングが続々と発表されていて、米澤穂信さんとアンソニー・ホロヴィッツさんは相変わらず強いなと感心しているところです。 私も今読んで…

『熱帯』森見登美彦

熱帯 (文春文庫 も 33-1)作者:森見 登美彦文藝春秋Amazon どうしても「読み終えられない本」がある――。その名も『熱帯』。 この本を探し求める作家の森見登美彦はある日、〈沈黙読書会〉なる催しでふしぎな女性に出会う。彼女は言った「あなたは、何もご存じ…

『沈黙のパレード』東野圭吾

沈黙のパレード (文春文庫 ひ 13-13)作者:東野 圭吾文藝春秋Amazon 静岡のゴミ屋敷の焼け跡から、3年前に東京で失踪した若い女性の遺体が見つかった。逮捕されたのは、23年前の少女殺害事件で草薙が逮捕し、無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放され…

『店長がバカすぎて』早見和真

店長がバカすぎて (ハルキ文庫 は 15-1)作者:早見 和真角川春樹事務所Amazon 谷原京子、二十八歳。吉祥寺の書店の契約社員。超多忙なのに薄給。お客様からのクレームは日常茶飯事。 店長は山本猛という名前ばかり勇ましい「非」敏腕。人を苛立たせる天才だ。…

『リバーサイド・チルドレン』梓崎優

リバーサイド・チルドレン (創元推理文庫 M し)作者:梓崎 優東京創元社Amazon カンボジアの地を彷徨う日本人少年は、現地のストリートチルドレンに拾われた。過酷な環境下でも、そこには仲間がいて、笑いがあり、信頼があった。しかし、あまりにもささやかな…