tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『予知夢』東野圭吾

予知夢 (文春文庫)

予知夢 (文春文庫)


深夜、16歳の少女の部屋に男が侵入し、気がついた母親が猟銃を発砲した。とりおさえられた男は、17年前に少女と結ばれる夢を見たと主張。その証拠は、男が小学四年生の時に書いた作文。果たして偶然か、妄想か…。常識ではありえない事件を、天才物理学者・湯川が解明する、人気連作ミステリー第二弾。

東野圭吾さんの作品は、すでに50作品以上読みました。
…って言うと、「それで今さらなんで『予知夢』?」と突っ込まれそうですが。
はい、すみません、講談社から出ている作品を中心に攻めていたので、ガリレオシリーズは後回しになっていたのです。
ちなみにガリレオシリーズは『容疑者Xの献身』から読み始めました(^_^;)
でも、これでやっと追いつきました。


というわけでガリレオシリーズ第二弾にあたる作品、『予知夢』です。
前作『探偵ガリレオ』同様、ガリレオ先生こと湯川助教授と、湯川の大学時代の友人である草薙刑事による科学謎解き短編になっています。
今回は前作以上にオカルト色が強め。
予知夢、幽霊、ポルターガイスト、火の玉…そういった心霊現象の数々が登場します。
とは言っても本物の心霊現象ではありません。
どれも科学の力で解き明かすことのできるちょっとした「謎」にすぎないのです。
それを湯川が明晰な頭脳とひらめきで解明し、事件解決に導く過程を楽しむミステリです。


科学とミステリの融合という発想自体は好きだけれど、私が科学に疎いせいなのか、謎が解けたときの快感があまり感じられなかったように思います。
もともとオカルトっぽいものもあまり好きじゃないので、そのせいもあるかもしれませんが。
でも人物造形や、短編としての話のまとめ方は好きですね。
特に一番最後に収録されている「予知る」の終わり方は上手いなぁと思いました。
科学で解き明かせない部分が残るのも悪くないという感じでしょうか。
登場人物では湯川よりも草薙の方が好きだったりします。
湯川の科学的な説明がさっぱり理解できないという草薙の存在があるからこそ、理系音痴にも親しみやすい作品になっていると思います。


東野さんのシリーズものでは加賀恭一郎シリーズが一番好きな私。
ガリレオシリーズも悪くないのですが、長編の方が好きかな。
『聖女の救済』の文庫化はいつだろう?
楽しみに待っています。
☆4つ。