tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『3月のライオン (5)』羽海野チカ

3月のライオン 5 (ジェッツコミックス)

3月のライオン 5 (ジェッツコミックス)


林田先生、二海堂、川本家の三姉妹…。周りの人々の温かさに少しずつ心溶かされ、学校生活・棋士生活の両面で前を向き始める零。しかし、そんな零の心を乱す事件がひなたに振りかかる…。

コミックス派なので首を長くして新刊を待ち続ける日々です。
そしてこの作品はいつも、待ち続けた甲斐があったと思わせてくれるのです。


4巻から本格的に物語が動き出して、いやがおうにも期待が高まっていた5巻。
なんとなく、もっと苦しい展開になるのかなと思っていましたが、実際のところはなんだか癒される場面の多い巻でした。
零くんの周囲の人たちがやっぱり好きだな。
4巻で主役を圧倒する凄みを見せてくれた島田八段はこの巻でもやっぱり素敵。
故郷を大事にする人っていいよね。
零のことを「心友(ライバル)」と言ってはばからない二海堂くん。
親身になって零の学校生活を支援してくれる林田先生。
ひとりぼっちの零を部活仲間として受け入れてくれる野口くん。
美味しいご飯と優しい笑顔で零の心を温めてくれるあかりおねいちゃん。
いつも無邪気で愛らしいモモちゃん。
…そして。


「3月のライオン」のヒロインはやっぱりひなちゃんなんだなと、改めて確認できました。
ひなちゃんの明るさ、優しさ、まっすぐさ、健気さ、強さ…。
まだ子どもっぽい感じで描かれているけれど、とても魅力的な女の子です。
辛い出来事も乗り越えて、素敵な大人の女性になっていくんだろうなと思います。
そんなひなちゃんの強さと優しさに打たれた零くんの決意に涙があふれました。
零くんもひなちゃんも、どんなことにも負けないで、日陰ではなくひなたの道を歩けますように。
「ひとりじゃない」ことのあたたかさと心強さに、涙を拭いながらもあたたかい気持ちで5巻を読み終えました。


将棋漫画なので、零くんの棋士としての闘いと成長も気になるところ。
二海堂くんが零のことを評して「偽りの草食棋士」と言っていますが、本質を突いているんだろうなと思います。
一見静かに、落ち着いているように見えて、実のところ身の内には闘争心も負けん気も自信もたっぷりあふれているんだよね。
この先の物語ではぜひとも零くんのそんな熱い部分を見られるといいなぁと思います。
香子さんや後藤との関係もどうなっていくのか気になるところですが…はてさて。


最後に。
ツイッターで羽海野さんや3月のライオン公式アカウントをフォローしているおかげで、この作品を2倍…いやもっと楽しめるようになった気がします。
新刊発売前のライオン祭りがとても楽しい…♪
感謝・感謝です。