tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『3月のライオン(3)』羽海野チカ

3月のライオン 3 (ジェッツコミックス)

3月のライオン 3 (ジェッツコミックス)


年末にかけて体調を崩していた桐山零だが、三姉妹の献身的な看病を受けて回復する。復調した桐山は因縁の相手・後藤九段と対決すべく、一層の気合いで獅子王戦挑戦者決定トーナメントに挑むのだが…

今回は零が今まで気付かなかったさまざまなことに気付きながら成長していく姿がよかったです。
自分は孤独ではなくて、たくさんの心配してくれる人がいるということ。
人は頼り、頼られることで支え合って生きていく生き物なのだということ。
自分はまだまだ経験不足の、愚かな子どもだということ…。
高校生くらいの頃って、一番「恥」の多い時期かもしれないな。
ある程度行動範囲が広がって、大人扱いされることも多くなって、「自分はもう子どもじゃない」などと勘違いしやすい時期。
実際は大人の目から見るとまだまだ子どもなんですけどね。
でも、そうやって勘違いして、恥をかきながら大人になっていく。
どんな立派な大人だって、みんな同じ。
零くんは中学生でプロ棋士になって、人よりも早く社会に出て大人たちと対等に将棋盤上で戦うようになってしまったから、余計に恥をかかなければならない機会も多いのかもしれない。
それは苦しいことだけれど、それを乗り越えた時にこそ、零くんは一流の棋士になれるのだと思います。


相変わらず暗い雰囲気のマンガですが、癒される部分もたくさん。
川本家の3姉妹の優しさと温かさは相変わらず。
二海堂は可愛いし、猫たちも愛らしいし、零の担任の先生や放科部(放課後理科クラブ)の人たちのような素晴らしい人たちもたくさん。
苦しい部分と癒しの部分が絶妙のバランスで同居した作品です。
将棋のことが分かれば、もっと楽しめるのかな。
私は駒の動き方は分かるけれど、戦法のことは全く分からないので…。
それでも続きが楽しみなマンガです。