tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『赤ちゃんがいっぱい』青井夏海

赤ちゃんがいっぱい (創元推理文庫)

赤ちゃんがいっぱい (創元推理文庫)


アルバイト先の助産院を解雇された陽奈は、急場を凌ぐために“ハローベイビー研究所”に就職するが、そこでは価値のないものばかりが消え失せる目的不明の盗難が続き、さらには十八年前を再現したかのような赤ちゃん置き去り騒ぎが起きた。
いったい研究所内で何が進行しているのか?
「伝説の助産婦」にして安楽椅子探偵・明楽先生の推理が冴える!
助産婦探偵シリーズ初長編。

先日の読了本『赤ちゃんを探せ』の続編、『赤ちゃんがいっぱい』を読みました。
う〜ん、少子化対策に日夜頭を悩ませているお役人さんが涙を流して喜びそうなタイトルですね〜(笑)


自宅出産専門助産婦の聡子さんが、自らの出産・育児のため休業。
さらに修行先の産婦人科をリストラされて、突然失業してしまった見習い助産婦の陽奈ちゃん。
そこに舞い込んできたのは「ハローベイビー研究所」というなんだか怪しげな施設の求人…。
ということで、前作『赤ちゃんを探せ』の続きとなる初の長編となった今作。
相変わらずのテンポのいいストーリー運びと、カリスマ助産婦明楽先生の安楽椅子探偵っぷりが小気味よい作品です。
ミステリくささがなく、題材も面白いので、万人にお勧めできます。


今回の作品は、妊婦さんの不安やら悩みやらが描かれていて、若い女性には参考になりそう。
妊娠・出産に不安にならない人はいないのではないでしょうか。
無事出産できたとしても、その後には長い育児という仕事が待っているのですもんね。
私は子どもは好きだし、早く赤ちゃんを生んでみたいという気持ちもあるけれど、ちゃんと育てていける自信があるかといわれると、う〜ん…とうなってしまいます。
不良になったらどうしよう?
公園デビューはうまくいくかな?
仕事はどうする?
もしも、病気や障害を持って生まれてきたら…?
不安のあまり、本やらネットやらサークルやら、いろんなところにすがろうとして、結果怪しげな団体に引っかかってしまう妊婦さんを責めることはできないのではないでしょうか。
そうでなくても今は子どもを生み育てていくことが難しい時代。
だって大人だって自分が生きていくのに精一杯な人が多いんですから。
もっと妊婦さんや子育て中の人に優しい社会を作っていかないと、少子化は進むばかりです。