tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『イニシエーション・ラブ』乾くるみ

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)


大学四年の僕(たっくん)が彼女(マユ)に出会ったのは代打出場の合コンの席。やがてふたりはつき合うようになり、夏休み、クリスマス、学生時代最後の年をともに過ごした。マユのために東京の大企業を蹴って地元静岡の会社に就職したたっくん。ところがいきなり東京勤務を命じられてしまう。週末だけの長距離恋愛になってしまい、いつしかふたりに隙間が生じていって…。

ううむ、↑のあらすじだと普通の恋愛小説としか思えないな…。


私は乾くるみさんがどういうタイプの小説を書く人か知っていたし、この作品が「必ず2度、読み返したくなる」作品であるということも知っていました。
つまり、ある程度予備知識を持って、けっこう注意深く読んでいたのです。
途中、「あれ?」と思う箇所は、前半部分にも後半部分にもいくつかありました。
でも、最後の1ページを読んでも、すぐには何が起こったのか理解できませんでした。
頭の中にはてなマークがいっぱい浮かんだまま解説を読み、ラストの用語辞典まで読んで、ようやくすべてを理解しました。
…相変わらずトロいわたくし(-_-;)
で、すべてを理解した状態でもう一度初めから読み直してみて、この作品の真のすごさに気付きました。
うまく考えられてますね〜。
考えようによってはこの結末は怖いけど、結局「どっちもどっち」なんだと思うな、うん。
作品舞台が80年代なので、「男女7人夏物語」「秋物語」とか「テレホンカード」とか「クイズダービー」とか、そういう小道具も懐かしくてよかったです(私は当時まだ子どもでしたけどね)。
もう一度じっくり読み直してみよう。
☆5つ。
さて、ネタばれ書評めぐりに出発するかな…。