tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『H2 9巻 少年サンデーコミックスワイド版』あだち充

ぎゃあぁ、昨日のこの日記へのリンク元のほとんどがH2関連のキーワードでの検索からになってる(;^_^A
8巻までは1、2冊しか入荷していなかったうちの近所の書店でも昨日発売の9〜11巻は平積みになっていました。
ドラマパワー、恐るべし。
私は宣言通り(?)ドラマは見てませんけどね。
やっぱり原作ファンとしてはあのキャスティングはどうしても納得いかない。
すみません、石原さとみ as 春華は悪くないと思うんですけど…。
さて、ドラマを見て検索エンジンからここにたどり着いてしまった皆さん、これより下はもしかするとドラマのネタばれになってしまっているかもしれませんので、嫌な人は検索エンジンに戻って他のサイトさんへどうぞ。
逆に先のストーリーが気になって検索してみた人は、左のカレンダーから過去ログをたどってみてください。
昨年9月ごろからの毎月15日前後の記事でコミックスワイド版の感想という形でストーリーを大雑把に追っています。
ただ基本は「ネタばれしない」のがモットーですので、あまり細かいところは書いてませんし重要なところはぼかしてたりしますが。

H2 (9) (少年サンデーコミックス〈ワイド版〉)

H2 (9) (少年サンデーコミックス〈ワイド版〉)

北東京大会準決勝、千川高校vs栄京学園の試合は、広田のひじの違和感による降板と、控えキャッチャー小倉の登場により流れが変わり始める。
しかしなんとか1点差を守りきった比呂は、9回裏、バッターは広田からという局面を迎える。
相手は優勝候補の一角である栄京学園、ドラマが起こってもおかしくない状況で、広田の策略により肩を痛めてしまう千川のキャッチャー・野田。
しかし、野田の旦那役はただのピッチャーではなかった!!
優勝候補を破っての決勝進出を果たした比呂の姿に思わず涙するひかり。
それを見た英雄の嫉妬心に火がつき(!?)、彼の5打数3三振2ホーマーの活躍で明和第一も難なく決勝進出を決める。
そして迎えた決勝戦、まずは北東京大会。
初出場で実績がない千川だが、栄京を破った千川の強さは本物だった。
「千川が勝つ」という英雄の予言通り、千川はついに甲子園への切符を手にする。
そしてその翌日、南東京大会決勝で英雄たち明和第一も…。
比呂と英雄、「神様が見たかった」2人の対決が一歩現実に近付いた!!


『タッチ』が「ヘタレな達也が甲子園を目指す」漫画だったのに比べると、最初から天才である比呂と英雄はあっさり甲子園に行っちゃったなぁという感じです。
もちろんひかりが言うとおり、「天才は努力の数も人一倍」なんでしょうけどね。
でもあだち漫画はスポ根ものではないので、努力の過程はあまり描かれません。
その代わり、比呂と野田をはじめとする千川ナインや英雄が本当に野球を心の底から愛しているということがよく伝わってきます。
特に比呂の野球哲学とも言うべきこだわりが私は好きですね。
その比呂の野球哲学の一例がこの巻のイチオシ名台詞。
春華ちゃんのセリフです。

国見くんは、四球(フォアボール)が一番嫌いなのよ。
バックのみんなの毎日の守備練習が、なんの役にも立たないから…
ヒットならボールを追って走って―うまくいけば、ファインプレーのチャンスだってある。
―けど、四球とホームランはただ見送るだけ。
ホームランは、打った相手をほめることもできるけど、ストライクを取れずに出した四球に、言い訳はできないって。

比呂の性格がよく出ていますね。
確か、「打たせて取る野球が好き」とも言ってましたね。
バックのみんなと一緒に野球をやりたいから、と。
これまた『タッチ』の達也とは対照的です。
そういえば比呂はあんまり奪三振記録も出していないような。


恋愛の方はとにかく切なかったです。
比呂と春華はファーストキス以来いい雰囲気が続いているみたいですが、一方で熟睡している比呂を思わず抱きしめてしまうひかり、比呂を野球以上に恋愛のライバルとして意識し始めた英雄…。
ひかりにベタ惚れでまっすぐな英雄がなんだかかわいそうです。
でもひかりもきっと辛いんでしょうね。
非のつけどころのない完璧な天才を彼氏に持ちながらも、家族ぐるみの付き合いを続ける幼なじみの比呂がいつも自分の視界にいて、しかもその比呂は日に日に成長し、魅力を増していく。
そりゃ気持ちが揺らぐのも無理ないです。
気持ちが揺らぐといえば比呂だって不安定なんですけどね。
とりあえず今の本命は春華みたいですが、ひかりと春華が一緒にいるところを見て動揺し、とにかく春華と一緒にひかりから遠ざかろうとするシーンがかわいかったです。
やっぱり「以前好きだった女の子」と「今現在好きな女の子」が2人一緒にいたら複雑ですよねぇ…。