tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『倒錯の死角―201号室の女』折原一

倒錯の死角 (講談社文庫)

倒錯の死角 (講談社文庫)


ベッドの上に白くすらりとした脚が見える。向かいのアパートの201号室に目が釘付けになった。怪しい欲望がどんよりと体を駆けめぐる。あちら側からは見えないはずだ―屋根裏部屋から覗く男と覗かれる女の妄想がエスカレートし、やがて悪夢のような惨劇が。折原ワールドの原点ともいうべき傑作長編。

実は折原一さんの作品は初挑戦です、はい。
初めてということでとりあえず初期の長編から。


どういうタイプのミステリを得意としているのかあまり知らずに読み始めたことが功を奏して(?)、見事にコロッとだまされました。
ネタばれになるのであまり書けないのが歯がゆいですが、ラストは驚きの連続でした。
解説に書かれているとおり、「ここまでやるか」と思わせるほどにいくつもの「驚きの真相」が次々に明かされるのです。
しかもこれだけ多くのトリックを詰め込みながら、複雑になりすぎることなく分かりやすい話になっているのがまたすごいと思います。
作品全体のサイコホラー的な雰囲気もいい感じです。
ただ、メインの登場人物たちは被害者を除いてみんなアルコール中毒だったり覗き趣味があったりとなんだか気持ち悪い人物ばかり…。
ホラーっぽい雰囲気ですが私は怖いというよりとにかく気持ち悪く感じました。
それだけに読んでて楽しいという感じではなかったので☆の数は4つにさせていただきますが、ミステリとしての出来は素晴らしいと思います。
驚かされたい人におすすめ。


…う〜ん、この手のトリック命の作品はネタばれなしだと書くことないな…(^_^;)