- 作者: 殊能将之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/08/09
- メディア: 文庫
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美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。
三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。
自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。
「ハサミ男」は調査をはじめる。
精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。
「わたし」は少女を2人殺した。
そののどに、ハサミを突き立てて。
マスコミはそんな「わたし」に「ハサミ男」とあだ名をつけた。
「ハサミ男」は3人目の少女をすでに見つけている。
しかし、その少女は別の人間に殺された。
「ハサミ男」と全く同じ手口で。
奇しくもその殺人現場の第一発見者となってしまった「わたし」。
「わたし」の模倣犯は、誰なのか---?
…だまされた〜〜〜!!!
「1人称が『わたし』なのは怪しい」とか、最初からかなり懐疑心を持って用心しつつ読んでいたのに、それでもすっかり作者の意図どおりにだまされてしまいました。
単に私の頭が弱いだけでしょうか?
いやいや、そんなことはないでしょう(と信じたい)。
「わたし」の正体が分かったと思ったら、また一つ、「?」が出現。
そして、全ての謎が解け、作者の意図がはっきりと明らかになったとき、私は背筋がぞくぞくするような感じを受けました。
あまりにきれいにだまされた心地よさに、そして、じわじわと湧き上がるような恐怖感に。
これはすごいです。
作者の仕掛けた罠にだまされること、これこそがミステリの与えてくれる快感だと信じてやまない人は、ぜひ読むべきです。