tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『ハチミツとクローバー(8)』羽海野チカ

ハチミツとクローバー 8 (クイーンズコミックス―ヤングユー)

ハチミツとクローバー 8 (クイーンズコミックス―ヤングユー)


原田デザインで理花の手伝いを始めた山田。
事務所で真山の理花に対する想いをあらためて目の当たりにして…!?
大ヒット・トキメキ・逆走ラブ・ストーリー、急展開の第8巻。

山田あゆみ(以下あゆ)ファンの皆様、お待たせしましたの第8巻。
…泣けます。
あゆファンは電車の中では読まないように(笑)
もうね、絶対に報われない恋と自分でも分かっているのに、それでも真山を見つめ続けずにはいられなくて、何度も傷ついて涙を流すあゆが痛々しくて見てられない。
でもこの8巻はハチクロには珍しい急激な展開だったのではないでしょうか。
真山と理花とあゆの三角関係が大きく形を変えてしまいましたね。
でもちゃんと収まるべき方向に向かっているような気がするので、切なくて痛々しくてやりきれないんだけど、最後はなんだかハッピーな予感がしました。
特に真山以外の(笑)あゆを取り巻く人々が素晴らしい!
野宮さん(真山の前職の先輩)は男前度120%アップだし、美和子さん(野宮の先輩)はかっこいいし、森田さん(あゆたちの大学の先輩)は優しいし…。
彼らがあゆの味方になってくれるのも、あゆが真山を一心に想い続けた報いじゃないかと思います。


あゆ以外の登場人物も、8巻ではみんな輝いています。
「あげられるものなんて心くらいしかないから 君にわたそうと思った」と自分の想いを感情があふれるままに任せてはぐみに伝えた竹本も、電話の向こうのあゆの空元気に気付いて鳥取から9時間かけて東京まで車で駆けつけた野宮さんも、故郷行きの列車を切なげに見つめる理花さんを衝動的にその列車に乗せてしまう真山も、みんな、気持ちの表し方は違っても、彼らを突き動かしているものの正体は同じなんですよね。
「それ」がすごくまっすぐで真剣で素直だから、この作品は読んでいてとても心地がいいのだと思います。
日本人は特に、自分の気持ちを素直に自分の言葉で告げるということができない人が多いから、余計に心地いいのかな。
私も素直な感情をまっすぐに口にできる人間になりたいです。