tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『どすこい。』京極夏彦

どすこい。 (集英社文庫)

どすこい。 (集英社文庫)


ついに決定版!
お買い得感充満の文庫版。
地響きがすると思って載きたい。
あの傑作が(仮)→(安)と来て、とうとう文庫に。
しりあがり寿さんの新作も読めるし、意外なキャラもゲスト出演。
これぞ決定版。(解説漫画・児嶋 都)

あっはっは。
いや〜、笑わせていただきました。
京極作品は難解で論理的で真面目だと思っている人にとっては衝撃的な作品でしょう。
「四十七人の力士」「パラサイト・デブ」「すべてがデブになる」「土俵(リング)・でぶせん」などなど…どこかで聞いたことのあるようなタイトルの連作短編集(?)で、内容はとにかく肉、肉。
漫画家の児嶋都さん(この人今でこそホラー漫画家だけど昔は別のペンネームでドラクエ4コマとかも描いてたんだよなぁ。いやぁ懐かしい)曰く、「肉小説」。
とても暑苦しくて汗臭いので、読んだのがたまたまこの季節でよかったと、自分の運のよさに感謝しました(笑)
「お相撲さんなんて大キライだ」という人は読まないほうがよろしいでしょう。
とてもくだらなくて馬鹿馬鹿しいパロディ小説ですが、実は1作1作が作中作だったりすべての作品がどんどんつながっていったりと、構成はなかなか凝っています。
特に面白かったのは「ウロボロスの新陳代謝」でミステリ作家が集合して話し合っているシーン。
そうそうたるメンバーですね。
これだけの実在の作家名を挙げてこんな馬鹿馬鹿しい小説を書けるのは京極さんのミステリ界での人徳のおかげなのかもしれません。
また、この『どすこい。』は文庫版で、ハードカバー版の『どすこい(仮)』とノベルス版の『どすこい(安)』があったわけなんですが、この文庫版にはこれら2冊に収録されたしりあがり寿さんの漫画が完全収録されている上に、新作書下ろしもあります。
おまけに児嶋都さんの解説漫画まで読めてとてもお得。
作品本文の方も、「ゆうこりん」とか「鋼の錬金術師」なんて新しいネタが出てきているのでだいぶ加筆訂正されているのではないでしょうか。
すでにハードカバー版やノベルス版を読んだという人でも楽しめると思います。
初めて読む人は電車の中などで読まないよう注意です。
本当に笑っちゃうから。
でも本を読んで笑ったのは久しぶりだなぁ。
楽しませていただきました。
ごっつぁんです!!(笑)