tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

Mr.Children Dome Tour 2019 "Against All GRAVITY" @京セラドーム大阪 (5/11)

*演奏曲目に関するネタバレを含みます。


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ミスチルのデビュー記念日の翌日に京セラドーム大阪で行われたライブに参加してきました。
今回のツアーは昨年行われたアリーナツアー「重力と呼吸」の続きのようなもの。
会場がドームになって、演出はパワーアップしセットリストも変わっていましたが、桜井さんのMCから伝わってくるメッセージは、両ツアー共通のものでした。
日本語と英語という違いはありますが、ツアータイトルにはどちらも「重力」「GRAVITY」とあります。
これはメタファーだと桜井さんが話していましたが、では何のメタファーなのか。
たぶん、人によってそれは異なるのかもしれません。
桜井さんにとっては「老い」とか「衰え」とかそういうものなのかな、とぼんやり思いましたが、明言はされていませんでした。
でも、いつまで歌えるか、いつまで元気で生きていられるか、といった引き際に関する話をされていて、私は桜井さんより年下できっと切実さは違うのだろうけれど、共感できる部分はもちろんあります。
「30代と40代の一番大きな違いは、死が身近になること」と知人が言っていたのですが、その通りかもしれないと最近よく思います。
学生時代の同級生の誰かが亡くなったという話が聞こえてきたり、親の老いを目の当たりにしたり、自分自身の衰えを自覚したり。
そんなことが増えてくると、いつか必ず来る自分の死について考えるようになる。
桜井さんのような、若いうちに大成功を収めて今でも元気に活躍している人でも、それは同じなんだなと思うと、勝手ながら桜井さんとの距離がぐっと縮まったような気がしました。
「もし明日歌えなくなったとしても後悔しない」と言い切った桜井さんはかっこいいし、私も後悔しない生き方ができたらと思います。


そんなちょっとしんみりするような話をしつつも、ライブはいつも通りパワフルで、大いに盛り上がりました。
「重力に対峙する」というツアータイトルを反映してか、前向きな歌詞の曲が多かった気がします。
また、最新アルバム「重力と呼吸」からの楽曲はもちろん、長年のファンにとってうれしいのは数々のヒット曲がバンバン演奏されること。
「令和になったので平成のヒット曲をもう1回」という言葉からの「HANABI」「Sign」「名もなき詩」の流れは圧巻で、ミスチルが間違いなく「平成を代表するバンド」であることを強く意識させられました。
ほかにも「旅立ちの唄」「Tomorrow never knows」「innocent world」など、どの曲を聴いてもその曲を聴いていたころの思い出が次々にあふれ出してきて、平成が終わることに感慨などなかったはずの私も、万感の思いで胸がいっぱいになりました。
それらの曲を聴いていた10代、20代の頃の私と今の私とでは変わった部分もたくさんあるけれど、曲自体は何も変わらずこれからもずっと聴き続けられるのだと思えば、歳を重ねることも怖くないような気がします。
私は学生時代にはミスチルのライブに参加する機会がありませんでしたが、今こうしてあの頃の音楽を生で楽しめているということはなんと幸せなことかと思います。
大人になるのも悪いことではないと思わせてくれたミスチルに、感謝の思いでいっぱいです。


珍しく「ロンドンにレコーディングに行く」というツアー後の予定を教えてくれたり、「平成の始まりの年に結成したけど、平成とともに終わるつもりはないのでこれからもよろしく!」と力強く宣言してくれたりで、今後の活動にも期待が高まりました。
「平成を代表するバンド」が平成が終わった後の時代をどんなふうに駆け抜けていくのか、楽しみでなりません。
それでも、楽しみは永遠に続くわけではない。
いつかきっと別れの時は訪れる。
でも、それまでは。
これからもライブで一緒に歌って、手拍子して、腕を振って、リズムに体を揺らしたい。
ミスチルを最後まで見届けるために、健康と体力と経済力を保つべくまた明日から頑張るぞという、「重力に対峙する」決意と力を得た幸福な3時間でした。
いつもありがとう。
そして、これからも、どうぞよろしく。