- 作者: 上橋菜穂子,チーム北海道
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/07/28
- メディア: 文庫
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バルサとチャグムが熱々をかきこんだ“ノギ屋の鳥飯”、タンダが腕によりをかけた“山菜鍋”、寒い夜に小夜と小春丸が食べた“胡桃餅”、エリンが母と最後に食べた猪肉料理…上橋作品に登場する料理は、どれもメチャクチャおいしそうです。いずれも達人の「チーム北海道」が、手近な食材と人一倍の熱意をもって、物語の味の再現を試みました。夢のレシピを、さあ、どうぞ召し上がれ。
上橋菜穂子さんの代表作である、「守り人」シリーズ、「獣の奏者」シリーズ、『狐笛のかなた』に登場する異世界の料理の数々を、日本で身近な食材を使って似たようなものを作っちゃおう、というコンセプトの異色レシピ本。
上橋さんの作品に登場する料理はどれも本当においしそうなんですよね。
山羊の乳を使った料理とか、実際にはにおいがきつくて日本人の口には合わないんじゃないかというようなものも多いのですが、登場人物が食べているシーンを読むと「私も食べてみたい!」と思わされるのです。
それを実際に作ってみるという企画を立てた新潮社の編集の方の気持ちはよく分かります。
そしてその編集さんの熱意に応えたのが、料理の達人たちを集めた「チーム北海道」の方々。
レシピも日本人の口に合うようにいろんな工夫がされていますし、メインメニューになるようなボリュームのある料理から食後のデザートまで、バラエティも豊かです。
きれいに器に盛り付けられたお料理の写真の数々を見ていると、ちょうどそのとき食事前だったこともあって、お腹がグーグー鳴って止まりませんでした(笑)
どれか作ってみようかなぁ…個人的にはラルウ(シチュー)に惹かれます。
レシピに混じっての上橋さんのエッセイもとても面白かったです。
上橋さんの作品には、文化人類学者としてオーストラリアを中心に世界各地でフィールドワークを行った経験が存分に活かされているということがよく分かりました。
ファンタジーの世界を描いており全ては想像の産物であるとは言え、実体験に基づく創作だからこそ、作り物っぽさが少ない物語世界が構築できるのですね。
特にオーストラリアでアボリジニの集落に滞在し、アボリジニたちと一緒にエミューを捕まえてさばいて食べたという話には、ありきたりですが「すごいなぁ」という感想を持ちました。
そんな経験を持っている日本人が一体何人いるでしょうか。
それから、幼少時に「大草原の小さな家」シリーズを読んで、そこに出てくるおいしそうな料理の数々にものすごく憧れたという話には、私も子どもの頃同じ体験をしているのですごく共感できました。
あのシリーズは本当においしそうだったもんな〜。
ポップコーンを蜜で丸く固めたポップコーンボールとか、ああ、今思い出してもおいしそう…(笑)
だからかな、大味だとか工夫がないとかいろいろ批判されることも多いアメリカ料理ですが、私はあまり悪い印象は持っていなかったりします。
今時のファストフードやジャンクフードはそりゃおいしくないかもしれませんが、きっと田舎の家庭料理とかだと日本料理に負けず劣らずおいしいものがたくさんあるんだと思います。
ああ〜、お腹減ってきた〜!!!(笑)
上橋作品のファンの方はもちろんのこと、食べることが好きな人におすすめ。