tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『遠い約束』光原百合

遠い約束 (創元推理文庫)

遠い約束 (創元推理文庫)


駅からキャンパスまでの通学途上にあるミステリの始祖に関係した名前の喫茶店で、毎週土曜二時から例会―謎かけ風のポスターに導かれて浪速大学ミステリ研究会の一員となった吉野桜子。
三者三様の個性を誇る先輩たちとの出会い、新刊の品定めや読書会をする例会、合宿、関ミス連、遺言捜し…多事多端なキャンパスライフを謳歌する桜子が語り手を務める、文庫オリジナル作品集。

少女漫画っぽい表紙にちょっと恐れをなしていたのですが、やっぱり中の文章もちょっとそれっぽかったかも。
でも講談社ティーンズハートと言うよりは集英社コバルト文庫っぽい感じ(わかる人にはわかる例え方)でしたのでまだ読めました。


内容は、これまた北村薫に影響受けてるんだろうなあという日常ミステリでした。
もうすっかり慣れてきた日常ミステリという分野。
やっぱりおもしろい!!
北村薫の代表作「円紫さんと私」シリーズは、文学知識がふんだんに盛り込まれていて、文学音痴な人にはちょっととっつきにくい感じがするけれど、この『遠い約束』は「今時の女子大生」のノリで描かれているのでけっこうとっつきやすいかな(でもミステリマニアっぽい感じはする)。
それと、主人公の女子大生と3人の男性の先輩がそれぞれはっきりしたキャラで、会話部分などとても面白い。
で、軽いノリの話なのかなあと思ってたら、主人公が大叔父さんと交わした「約束」と謎解きが絡み合って、最後はなかなか感動の展開。
してやられた、といったところ。