tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『冷静と情熱のあいだ』江國香織・辻仁成

冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)


穏やかな恋人と一緒に暮らす、静かで満ち足りた日々。
これが私の本当の姿なのだろうか。
誰もが羨む生活の中で、空いてしまった心の穴が埋まらない。
10年前のあの雨の日に、失ってしまった何よりも大事な人、順正。
熱く激しく思いをぶつけあった私と彼は、誰よりも理解しあえたはずだった。
けれど今はこの想いすらも届かない―。
永遠に忘れられない恋を女性の視点から綴る、赤の物語。

冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)


あのとき交わした、たわいもない約束。
10年たった今、君はまだ覚えているだろうか。
やりがいのある仕事と大切な人。
今の僕はそれなりに幸せに生きているつもりだった。
だけど、どうしても忘れられない人、あおいが、心の奥に眠っている。
あの日、彼女は、僕の腕の中から永遠に失われてしまったはずなのに―。
切ない愛の軌跡を男性の視点から描く、青の物語。

冷静と情熱のあいだ [DVD]

冷静と情熱のあいだ [DVD]


女性と男性それぞれの視点から描いた、江國香織&辻仁成の大ヒット恋愛小説を、竹野内豊ケリー・チャンを主演に映画化。
東京とイタリアを舞台に、10年の歳月が紡ぎ出す愛の軌跡を美しい映像で描く。

『冷静と情熱のあいだ』を読了した翌日にその映画版がテレビ放映されるとは…、なんて運がいいんでしょう。
ビデオに撮って早速観てみました。


で、感想は…。
雰囲気は出てるねえ。
ヨーロッパの古い街並みも、ちょっと陰鬱な雰囲気も、この悠長な(笑)恋愛物語にぴったり。
重要な見せ場であるフィレンツェのドゥオモなんかすごく綺麗でいいですね。
さらに音楽がまたいい感じ。
エンヤ最高!!


肝心のストーリーは、ちょっと原作と違うのが納得いかなかったりします。
なんで約束が果たされる前に順正とあおいは再会しちゃうの〜?
もうちょっと「10年前の約束」を強調して欲しかったなあ。
特に原作のBlu(辻仁成が書いたほう)では、順正はひたすら約束に固執してる感じだったから。
あおいの設定も原作と違〜う!!
原作のあおいは両親健在だし、純粋な日本人のはずですが…。
ま、ケリー・チャンを起用しちゃったからには仕方ないのかもしれませんね。
竹野内豊as順正はかっこよかったvv
でも崇はちょっとイメージが…。
ユースケ・サンタマリアじゃちょっと軽すぎ…(いや、ユースケは別に嫌いじゃないけど)。
あとマーヴもイメージと違いました。
原作ではもっとアメリカ人くさいアメリカ人かと思ったんだけど。
高梨とアンジェロ、あと順正のおじいさんはもうちょっとちゃんと描いて欲しかったです。


ま、あくまで原作と映画は別物と考えたほうがいいのかもしれませんね。
そこそこにどちらも楽しめたのでよしとしておきます。
原作を読むならRosso(江國香織が書いたほう)から読みましょう。
江國氏のほうが、含みのある、謎を残すような書き方をしているので。
Rossoで残ったはっきりしない部分を、Bluで補う、というのが正しい読み方かと思います。
私はやっぱり自分が女なせいか、Rossoのほうが好きですね。
というか感情移入はできました。
直接的な描き方で話がわかりやすいのはBluのほうですけどね。