tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『西の魔女が死んだ』梨木香歩

西の魔女が死んだ (新潮文庫)


今まで何度となく書店で手に取っていながら、なぜかなかなか購入に至らなかった本。
今年の新潮文庫の「夏の100冊」キャンペーンでYonda?のブックチャームをもらうために(笑)2冊購入したうちの1冊です。

【内容紹介】
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。
西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。
喜びも希望も、もちろん幸せも…。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。


いやぁ、何でもっと早く読まなかったんだろう?
わずらわしい「女の子同士の人間関係」に疲れてしまったまい。
そんなまいを受け入れたおばあちゃんがまいにかける言葉は、全てがあたたかくいたわりと愛情に満ちている。
中学生の少女を癒す言葉は、疲れた大人の心をもきっと癒してくれます。
言葉だけではなく、おばあちゃんがまいのために作ってくれるいろんな料理や紅茶もとてもおいしそうだし、美しく力強く生きる庭の草花たちにも元気付けられるような気がします。
とにかく「自然」の描写がとても綺麗。
頭の中に、草と土と太陽のにおいがする「おばあちゃんの庭」の絵が容易に思い描けました。


学校に行けなくなったまいでなくても、おばあちゃんの家でひと夏を過ごしたくなります。
この先、疲れたらきっとまたこの作品を読みたくなるだろうと思います。

西の魔女が死んだ』梨木香歩
発売中 新潮文庫 \420(税込) ISBN:4101253323