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tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『RDG6 レッドデータガール 星降る夜に願うこと』荻原規子


水子は“戦国学園祭”で本当の能力を現した。影の生徒会長は世界遺産候補となる学園トップを泉水子と判定するが、陰陽師を代表する高柳は、異議をとなえる。そして、IUCN(国際自然保護連合)は、人間を救済する人間の世界遺産を見つけだすため、泉水子に働きかけ始め…。泉水子と深行は、だれも思いつかない道のりへ踏みだす。姫神による人類滅亡の未来を救うことはできるのか―。大人気シリーズ、ついに完結。

ついにシリーズ最終巻。
この一風変わった学園ファンタジーも、ついに大団円へ!
――と思ったら、あれ?


「戦国」をテーマにした学園祭が終わり、徐々に日常を取り戻していく鳳城学園。
その一方で大きな変化も起きていました。
ついに泉水子が学園トップと判定され、世界遺産候補になることになったのです。
ところがそこに高柳一条が異議を唱え、泉水子と一対一で再度決着をつけることに。
2人の勝負の行方は?
そして新たな危機が泉水子に迫り――。


ううむ、これは何とも、どう評価していいものやら悩ましいですね。
学園青春もの、泉水子の成長物語としてはうまく完結していると思います。
シリーズ最初のうちは頼りないばかりだった泉水子が、ずいぶん強く、賢くなったなぁという印象。
それは紛れもなく深行や宗田きょうだいのおかげで、彼らと泉水子との絆と友情がうらやましく、温かい気持ちになりました。
深行とのほのかなラブストーリーもきれいにまとまりましたね。
本書のラストシーンがとてもいい雰囲気で、思わず親戚感覚で泉水子によかったねぇと言ってあげたくなってしまいました。
ライバル(?)の高柳も、もっと悪役のイメージだった当初に比べると、ずいぶん受ける印象が変わって、意外と悪くないやつだなぁと思えました。
何と言うか、憎めないキャラクターなんですよね。
高柳との関係も含めて、学園内の人間関係も最終巻でいい方向へ進んだのではないかなと思います。


が、ファンタジーとしては、なんだか風呂敷を広げるだけ広げられたわりにはそのまんまほったらかしにされたような気分。
姫神のことも、人類滅亡の未来のことも、結局何も解決していません。
最終巻というからにはもっと派手に何か事件が起こるのかと思いきや、それもなし。
なんだか淡々と終わってしまって、それがこのシリーズらしい感じもしなくはありませんが、肩すかしを喰った印象はぬぐえません。
山伏、忍者、陰陽師のそれぞれの役割がはっきりしたくらいで、特にそれ以上の進展はありませんでした。
ただ、泉水子が自分の将来をしっかりと思い定めて、前向きな姿勢になったのはよかったかな。
物語がこの先も続いていって、その先に待っているであろう姫神との真の対峙がどうなるのかと、想像力をかきたてられます。
できることなら続編を書いていただいて、張りまくった伏線を全部回収してすっきりさせてほしいものですが、あまりだらだらとシリーズが続くのもどうかという気がするし…。
う~ん、難しいところですね。


というわけで、すっきりした部分もあればもやもやが残った部分もありで、諸手を挙げて「良い作品だった」とは言えないのですが、これまで読んだどんなファンタジーとも雰囲気が違って、とても新鮮で楽しい作品だったのは事実。
続編に期待しつつ☆4つとしておきます。
全ての謎を解くところまではいかないとしても、もう少し大人になった泉水子や深行や宗田きょうだいを見てみたいのです。
荻原先生、よろしくお願いします!