tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

KOBUKURO LIVE TOUR 2022 "GLORY DAYS" @大阪城ホール (11/2)

ネタバレ満載のライブレポです。


2019年7月のコブクロ結成20周年ツアーファイナル公演から実に3年4か月ぶり、ようやく、再びコブクロのライブに参加することができました。
配信ライブは観ていましたが、当然のことながら会場に直接足を運んで参加するライブとは全然違いますよね。
いろんなことを乗り越えて、やっと戻ってきた日常に感無量……と言いたいところですが、実を言うとこの何か月か、コブクロどころか音楽から心が離れてしまっていました。
いろんな意味で余裕がなかったということもありますが、娯楽や癒しは別のところに求めてそれなりに満たされていたので、音楽を必要としてはいなかったのです。
そんなわけでグッズを通販で購入した以外はライブ当日までまったく何の準備もしておらず、このツアーに先立ってリリースされた最新シングル「この地球の続きを」も購入すらしていないという、今までにない「コブクロ離れ」の状況で、全然楽しめなかったらどうしようと少々不安を抱えながら開演を迎えました。
――その結果。
いやもう、予想以上に心を動かされてしまった自分がいました。
コブクロのふたりにガシッと心をつかまれて引き戻されてしまった。
初めてコブクロのライブに参加した日に、「コブクロすごい」と思ったあの日に。
改めてコブクロの魅力を実感するとともに、いい意味で変わらないふたりに安心しました。
何年か後に振り返ってみたら、この日のライブがきっと私にとって新たな出発点だったと言えるんだろうなと思います。


はい、ではここからはネタバレ満載で行きますよ。
今回のツアーは事前に何の情報も入れずに参加することを強く強く推奨します。
これからの公演に参加される方は今のうちに回れ右を。


ステージ上にはネオン風の照明が配置されていて、ポップながらシンプルな印象。
その最初の印象どおり、派手な演出はほとんどなく (銀テープもなかったな、そういえば)、 純粋に歌を聴かせようというシンプルな構成のライブでした。
けれども中身は非常に濃密・濃厚でしたね。
それは未発表新曲や新アレンジの曲がたっぷりと披露されて、新鮮味と意外性に満ちあふれていたから。
ライブの幕開けとなる1曲目から、早速できたての新曲「Mr.GLORY」。
楽しいことの始まりを感じさせるような明るい曲調のポップスですが、個人的には歌詞にとても共感できました。
特に2番の「嫌なことは嫌だと たまにはガツンと言ってやればいいさ そんな君を ずっと待ってる人がいる」という歌詞。
嫌なことを嫌とはっきり言ってみたら意外と周りの人たちが好意的かつ優しく受け止めてくれて、なんだかとても気が楽になって生きやすくなった、というのが私がここ1年ほどの間に実際に経験したことでした。
さっすが小渕さん、わかってくれてるわ~と勝手に思い込む私。
いいんです、こういう思い込みが推し活には大事なんです (?)。
2曲目の「今、咲き誇る花たちよ」の後に最初のMCでしたが、途中からバンド紹介も含めて小渕さんひとりがしゃべっている最中、なぜかずっと歌声のようなものが聞こえてきます。
コロナ対策で声出し禁止のはずなのに?と思っていたら、実は黒田さんが発声練習をしていたのでした。
私はスタンド席でステージはかなり遠かったのにそれでも聞こえたということは、ステージに近い席の人たちはけっこううるさく感じたのでは……。


「流星」の後、何やら聞き慣れない前奏が始まったので新曲かと思ったら、「ベテルギウス」で驚きました。
ロック調で少しテンポも速めの「ベテルギウス」はとてもかっこよくて、個人的にはとても好みです。
コブクロのふたり、そしてファンのことを歌にした「Always (laughing with you.)」、MCを挟んで「恋心」と続きましたが、「恋心」を演奏するのは2009年以来だったそうで、あまりに久々すぎて曲名がまったく思い出せませんでした。
そして2011年の活動休止前のツアーで披露された後、音源化されることもなくほとんど幻の楽曲と化していた「恋愛観測」がここで。
最新シングルに収録されたことは知っていたのでセットリストに入ってきたこと自体にそれほど驚きはありませんでしたが、むしろ演奏が始まってすぐに「恋愛観測」だとわかった自分に驚きました。
2011年のツアーで聴いた後は一度も聴いたことがなかったのに、妙なところで記憶力がいいものです。
そして、さらなる驚きが次の曲。
前奏が小渕さんのハープで始まったので、「To calling of love」かな?と思ったのですが、「どんな悲しみにも~」という歌い出しにびっくり仰天。
なんとバラードに生まれ変わった「あの太陽が、この世界を照らし続けるように。」だったのでした。
何の曲かわかると同時に、黒田さんが小渕さんのMC中に発声練習をしていた理由も悟ります。
この曲のためだったんだ、と。
黒田さんの歌声は優しく包み込むようで、それでいてオリジナルバージョンにあった力強さもしっかり残っていて――気づいたら視界が涙でぼやけていました。
ところどころ泣いているようにも聴こえて、歌声に感情を乗せる黒田さんの歌唱力はやっぱりすごいなと感動。
最後の一音が消えるまで誰ひとり拍手をしなかった大阪城ホールのお客さんたちも最高でした。
その後の小渕さんの「今、世界には地下に隠れなければならなくて、太陽が怖いと思っている子どもたちがいるかもしれない、そういう子たちにも寄り添えるような歌を歌っていきたい」という、世相を意識したMCにまた泣かされました。


「時の足音」はこれまた新アレンジで、ミディアムロックと言ったらいいのかな、かっこいい感じにグレードアップしていました。
今回の新アレンジ、どれもこれも前奏では何の曲かさっぱりわからず意外性たっぷりで、元の楽曲のよさも失ってはいなくて、本当に絶妙でした。
「Days」は配信シングルで聴いたときはあまりピンと来なかったのですが、ライブで聴いたらふたりの伸びやかな声がとてもよかったです。
最後はマイクオフアカペラで、ふたりの生声が広い会場に響き渡りました。
ロングMCでたっぷり笑わせてもらった後は、本編最後の盛り上がりコーナー。
新曲「雨粒と花火」はどこか歌謡曲っぽいメロディーで、新曲なのにちょっと懐かしい感じがするという不思議な感覚を味わいました。
「ストリートのテーマ」では声を出せないので手拍子でコール&レスポンス。
これが意外にもとても楽しく、盛り上げ上手なコブクロのエンターテイナーぶりを満喫しました。
最後は「神風」からの「この地球の続きを」。
2025年大阪・関西万博のテーマソングということで、公式キャラクターのミャクミャク様 (私は「様」をつける派です!) がスペシャルゲストで登場しました。
さすがはミャクミャク様、スタンド席からでもやたら視認性が高い!!
コブクロさん存在感で完全に負けてるよ……と思っていたら、間奏で法被を着た小渕さんが和太鼓を披露、これがとてもかっこよくて面目躍如となりました。
相変わらず小渕さんはいろんな楽器を演奏して器用な人だなと感心しながら本編終了です。
そうそう、演奏が終わった後ミャクミャク様がコブクロと一緒に深々と長いお辞儀をしていたのがとても可愛かったなあ。


普段は「ストリートのテーマ」の一節を歌うアンコール呼び込みは、声出し禁止なので手拍子のみで、ちょっとさみしい感じがしつつも新鮮と言えば新鮮でした。
今回のツアーはデビュー当時にレコーディングを一緒にやっていた方がドラム担当ということで、デビュー曲の「YELL ~エール~」、そしてオーラスはまたまた新曲の「足跡」で締めです。
「足跡」は優しい雰囲気のバラード。
小渕さんの愛犬・ロック君が病気であることがわかり、もう残された時間はわずかかもしれないけれど、今一緒にいられることがうれしい……という思いが込められた曲なのですが、小渕さんは本当にこういう曲を書かせたら天下一品ですね。
ペットを飼っている人はもちろんのこと、子育て中の人にもきっと刺さるんだろうなという名曲がまたひとつ誕生です。
ちなみにロック君は治療がうまくいっている部分もあるとのこと、少しでも長く小渕さんと一緒にいられますようにと、そっと心の中で祈りました。


新曲に新アレンジ、懐かしい曲もたっぷり満喫できて、曲数はいつもより少な目ながら、しっかりお腹いっぱいになったライブでした。
黒田さんの歌声は緩急自在で圧巻でしたし、小渕さんの優しく温かい言葉が心に沁みました。
黒田さんがよく「歌でねじ伏せたい」と言っていますが、もう完全にねじ伏せられてしまいました。
3年のブランクなんて、すっかりどこかに飛んで行ってしまったようです。
またここから、私なりのペースでコブクロを応援していこうと思います。
そのためにはまずは日常を頑張らなくてはね。
そう思わせてくれたふたりに感謝です。
ありがとうございました!!


*セットリスト*
01. Mr.GLORY (新曲)
02. 今、咲き誇る花たちよ
<MC>
03. 流星
04. ベテルギウス (新アレンジ)
05. Always (laughing with you.)
<MC>
06. 恋心
07. 恋愛観測
08. あの太陽が、この世界を照らし続けるように。 (新アレンジ)
<MC>
09. 時の足音 (新アレンジ)
10. Days
<MC>
11. 雨粒と花火 (新曲)
12. ストリートのテーマ
13. 神風
14. この地球の続きを
<アンコール>
EN1. YELL ~エール~
<MC>
EN2. 足跡 (新曲)