tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

SPITZ JAMBOREE TOUR 2019-2020 "MIKKE" @大阪城ホール (1/18)

*最後に演奏曲目・演出についてのネタバレがあります (事前に警告あり)


2020年最初のライブ参加は、スピッツでした。
前回は2017年の30周年ツアーでしたから、ほぼ3年ぶりで久しぶりだという印象ですが、ライブの構成や雰囲気は変わりなくてうれしくなりました。
にわかファンからディープなファンまで誰でも楽しめる新旧取り混ぜたセットリスト、派手な演出はなくとも曲によく合った美しい照明、曲の合間のゆるゆるMC、ロックバンドのライブらしからぬ (?) 和やかな空気感。
観客も一緒に大合唱だとか、コール&レスポンスだとか、他のアーティストでは当たり前のことも、スピッツのライブではやりません。
それがまたいいんですよね。
純粋にスピッツの歌と演奏を聴きに来たという感じが強くします。
リズムに身体を揺らして、手拍子して、拳を突き上げて、手を振って。
それだけで十分ライブは楽しいなあと心から思えるのがスピッツのライブです。
だからなのか、スピッツのライブは終わった後に「現実に戻る」感があまりありません。
他のライブに行くと、いつも終演後は「また明日から仕事か~」とちょっと憂鬱になっていたりするのですが、スピッツのライブはなんだか日常と地続きで、あまり現実と乖離している感も、現実逃避感もないのですね。
好きな人たちが演奏するっていうからちょっと聴きに行ってくるわ、というような、軽い気持ちで行けるライブ。
それが私にとってのスピッツライブです。


個人的に、今回のライブはセットリストが最高に好みでした。
ずっと聴きたかったあの曲も、昔から大好きなあの曲も、ライブに欠かせないと思っているあの曲も、そしてもちろんツアータイトルにもなっているアルバム「見っけ」からの新しい曲たちも。
本当に好きな曲ばかりで、ライブ中ずっと、前奏が始まるたびにテンションがうなぎのぼり。
実はここのところあまりスピッツを聴いていなくて、予習が不十分だけど大丈夫かなと思いながら会場に入ったのですが、結果的にまったく心配する必要はありませんでした。
昨年はNHKの朝ドラ主題歌を担当し、そのおかげで音信不通だった親戚や友達からの連絡が増えたとマサムネさんが話していましたが、ライブ参加者も新規のお客さんが増えていたんじゃないかと思います。
そんな新規のお客さんでも十分楽しめるセットリストだったのではないでしょうか。
そういえばスピッツはライブ中に曲説などもあまりしませんね。
曲のタイトル紹介すらほとんどありませんが、たとえ知らない曲があったとしても、優しい曲からロックバンドらしい曲まで、スピッツらしさを堪能できるセットリストだと思いました。


ライブ中、何よりもうれしかったのは「これからも細く長く続けていきます」という宣言が聞けたことでした。
スピッツももう全員50代ですから何があってもおかしくないのですが、一度の活動休止もなく30年以上やってきているのはすごいことですし、これからも続けていきたいと言ってくれるのは、ファンにとってこれ以上ないほどうれしい言葉です。
スピッツって80には見えないよね、と言われたい」とまで言っていて、長寿バンドとして名を馳せる日がいつか来るのかと思うと楽しみです。
私自身の健康と体力がもつのかが若干不安ですが……。
MCの中でマサムネさんが「さくらんぼ」(大塚愛)、「Lemon」 (米津玄師)、「Into the Unknown」 (アナ雪2主題歌) を歌うのを聴けたのも、ほんの少しずつではあったし、替え歌だったりもしましたが、なんだか得した気分。
何を歌ってもマサムネさんのハイトーンボイスだとスピッツの曲に聴こえてしまうのが面白いですね。
ステージ上を激しく動き回るリーダー、マサムネさんのMCにツッコミを入れるテツヤさん、かっこいいドラムソロを披露してくれた崎ちゃんも、みんな全然変わっていなくて、会えてうれしかったです。
宣言通り、これからも変わらず4人+キーボードのクージーという体制でライブを続けてほしいな。
また行きたい、と心から思わせてくれたライブでした。




【以後、ネタバレありで少しだけ】
















今回はずっと聴きたかった「遥か」が聴けたのが一番うれしかったな。
「ヒビスクス」「僕のギター」「青い車」「俺のすべて」あたりも。
「ロビンソン」では改めて、マサムネさんの透き通るような高音は唯一無二だと思いました。
アルバム「見っけ」の中で、その挑戦的な構成に惹かれた「まがった僕のしっぽ」は予想通りライブ映えする曲で、気持ちよくリズムに乗れました。
また、今回は照明と曲とのマッチングが本当に素敵でしたね。
「けもの道」の赤い照明はロックでかっこよかったし、「優しいあの子」の夕暮れ時のような優しいオレンジの照明や、「渚」の美しい青の照明などが印象に残っています。
ステージ後ろの、ジャングルジムのような立方体を組み合わせたオブジェは一部がディスプレイになっていたのかな?
青空が映されたり、ランタンのように見えたり、とてもきれいでした。
セットリストも演出も最高だったのですが、ひとつだけわがままを言うなら……、「初夏の日」も聴きたかった!!!
またいつか聴ける機会があると信じています。




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