tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

「半落ち」

半落ち [DVD]

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半落ち

半落ち


請われて妻を殺した警察官は、死を覚悟していた。
全面的に容疑を認めているが、犯行後2日間の空白については口を割らない「半落ち」状態。
男が命より大切に守ろうとするものとは何なのか。
感涙の犯罪ミステリー。

先日テレビ放送された映画「半落ち」をビデオに録っていたので今日観てみました。
すでに原作本を読んでいるので話の内容は全部知っているのですが、それでも泣かされてしまいました。
原作にかなり忠実に作られているので、原作のよいところも悪いところも全部そのまま表現されているといった感じです。
だから本を読んだ時にも感じた、謎解き面での弱さは否めない。
ミステリでありながら謎は基本的に一つしかなく、その謎を最後まで引っ張るわりにはそれほど真相が意外というわけでもないので、どうしてもインパクトは弱いんですね。
けれどもそれをカバーしてあまりあるのが俳優陣の演技力。
主演の寺尾聰さんはもちろん、主人公の義母役の樹木希林さんも非常にいい味を出していると思いました。
彼女が法廷の証言台で泣き崩れるシーンでは私も一緒に泣いてしまいました。
寺尾さんの終始抑えた渋い演技も泣かせます。
正直言って脚本は原作と比べて細部が分かりにくく、特にある判事が父のアルツハイマー病に苦しめられるあたりの描写が原作に比べると弱くてあまり深刻に見えないという点が少々不満だったのですが、俳優さんたちの演技力にずいぶん助けられているなといった印象でした。
ということでこの映画の評価は☆3つ。
脚本がもっとよければ☆4つなんですけどねぇ…。
これから観るという人は、原作本を読んでからの方がよいかもしれません。
あと、サスペンスとかミステリとかだと思って観ると多分結末に拍子抜けしてしまうので、謎解きのことは考えず、あくまでも人間ドラマとして観ること。
全体的なできは悪くない映画だと思います。