- 作者: 天童荒太
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2004/11
- メディア: 文庫
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三つの無垢なる魂に最後の審判の時が訪れる――。
十七年前の「聖なる事件」、その霧に包まれた霊峰に潜んでいた衝撃の真実とは?
〈救いなき現在〉の生の復活を描く無類の名作、感動の最終章!
最終巻、やっぱり泣けました。
壮絶なすれ違いの物語ですね、これは。
みんな本当は親や子どもや恋人を愛し愛され、絆を結びたい、それによって癒されたいと思っているのに、心がつながっている関係は、この作品中にはほとんど出てこないような気がしました。
それがどうしてもやるせなくて、辛かった。
虐待について書いた本だと思って読み始めましたが、実際にはアダルトチルドレン、老人介護、アルツハイマー病など、虐待以外にもたくさんの要素が詰まっていました。
ミステリとしても、最後にどんでん返しっぽいものもあったのでまぁまぁ満足。
でもやっぱり虐待について考えさせられたという点が一番私には大きかったです。
虐待は連鎖するといいますよね。
親に愛されなかった子は、自分が親になっても愛し方を知らないから、結局また自分が親にされたことを自分の子どもに対してしてしまうと。
でも、その連鎖は断ち切れないことは決してないと思うんです。
虐待している親には、そうしてしまうだけの理由や原因がどこかにあるはずです。
それを取り除くことが出来たら、きっと虐待をやめさせることはできる。
もちろんそれが難しいからなかなか虐待がなくならないということも出来ますが。
でも、子どもを救うことはもちろん、親も救ってやらなければならないんだということをもっと多くの人が認識して行動できれば、少しは変わってくるのではないかと思います。
テレビCMで「子どもの愛し方が分からない」親に対して、「まず抱きしめてあげてください」という呼びかけをしているものがありますね。
私の母なんかは「今時の親はこんなことも言われな分からんのか…」とあきれていましたが、実際「分からない」親がいるのが現実なのですから、周りの人間が十分それを理解した上で、小さい子どもを持つ親たちを手助けしていかなくてはならないと思うんですよね。
決して「そんなことも分からないなんて親失格だ」なんて親を責めてはいけないのです。
虐待を受けた子どもは保護しなければなりませんが、その傷ついた心を癒せるのは、やっぱり親だけなのですね。
優希が最後に母から「あなたは何も悪くない」という言葉をもらえて救われたと言っていますが、本当に悲しいくらい子どもは親の愛情を求めていて、親を信じているんですよね。
虐待を受けるのは自分のせいだ、親は悪くないんだと思ってしまう。
だからこそ、まずは親の方を何とかしてあげるべきなんですよね。
親のほうが満たされて気持ちに余裕ができれば、きっと子どもを本当に愛しいたわることができるようになると、とにかく信じてやっていくしかないのかもしれません。
で、この作品を読んでいる途中でたまたま耳に入ったのがこの曲。
- アーティスト: 浜田雅功と槇原敬之
- 出版社/メーカー: R and C Ltd.
- 発売日: 2004/11/17
- メディア: CD
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ダウンタウンが司会を務める『HEY! HEY! HEY!』から超大型ユニットが誕生!
浜田雅功と槇原敬之がタッグを組み、松本人志:作詞、槇原敬之:作曲/編曲のデビュー・シングル「チキンライス」をリリース。
松っちゃんによる歌詞が泣かせます。
貧しかった子ども時代、親がクリスマスに外食に連れて行ってくれたけど、親に遠慮していつもチキンライスしか頼めなかった。
今は大人になって何でも好きなものを頼めるけど、でもやっぱりチキンライスでいいや…という感じの歌詞です。
確かに親に気を遣ってしまったり遠慮してしまったりすることって、ありますよね。
私も小さい頃は家の経済状況がよくなくて、欲しいものをねだっても買ってもらえたことなんてほとんどなかったし、我慢するということが当たり前だったので、だいぶ成長して家の経済状況が好転してからもやっぱり遠慮してしまって物をねだるということがずっと出来ないままでした。
こういう親に対する遠慮や気遣いも、みんな生まれながらに持っているものなのではないでしょうか。
そう考えると『永遠の仔』のテーマとも通じるものがある気がして結び付けてみましたが、ちょっと強引だったかな(^_^;)