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tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『ここはボツコニアン3 二軍三国志』宮部みゆき


“ボツコニアン”の世界では、中国四千年の歴史「三国志」でもやっぱりボツネタ集めちゃいました。曹操劉備ら小説・ゲームでお馴染みのメンバーはもちろん、軽視されがちなサブキャラも、なんなら怪獣やロボットまで登場しちゃう。これまで見たことも、聞いたこともない「赤壁バトル」に、おなじみピノとピピが直面する!宮部みゆき渾身の脱力系ファンタジー第3巻は、「三国志」ファン必読!

宮部さんの趣味全開、やりたい放題ゆるゆるメタファンタジーの3作目です。
ノリは相変わらずですが、ストーリーは一応ちゃんと進行していっています。


第3巻にして「ゲームのボツネタでできた世界」という設定が本領発揮してきたという印象を持ちました。
双子の「伝説の長靴の戦士」ピノ&ピピ (あわせてピノピ) がこの巻で冒険するのは、「三国志」の世界。
ですが、ただの「三国志」ではありません。
曹操だの劉備だの諸葛孔明だのといった、誰でも知っているようなメジャーキャラクターではなく、人気も知名度もイマイチな二軍キャラクターが中心の世界です。
だから「二軍三国志」で、「ボツネタでできた世界」なのね、と納得。
しかも登場する二軍キャラたちは、みんな自分が二軍であることを自覚していてそのことを嘆いていたりなんかして、なんだかちょっとかわいそうな気がしてきます。
ピノピがこの「二軍三国志」の設定をあっさり受け入れるばかりか、現実世界のゲームネタの知識をなぜか持っている (作中「巫女体質」と説明されています) など、普通のファンタジー小説ではありえない展開がこのシリーズらしくて楽しいです。
そしてこの三国志世界に登場するボス (?) は、なぜかゴジラ (のボツネタバージョン)。
三国志は実際の歴史を元にした作品なのに、時代も場所も無視していろんなネタが入り乱れる何でもあり状態になっています。
どんなにハチャメチャでも、「ボツネタの世界だから」、で通ってしまう (?) のが恐ろしいというか何というか……。
そんなカオス状態でも、ピノはしっかり新しい武器 (?)をゲットし新しい技を体得しますし、魔王に会うために必要な「伝道の書」も入手して、きっちり話は前に進んでいます (そうでないと困りますが)。


それにしても、ひとつ気になるのは、三国志が本当に好きな人、詳しい人が本作を読んだらどう思うのかな、ということです。
帯には「三国志ファン必読!!」なんて書いてあるのですが。
私は三国志のことはよく知らず、登場人物もそれこそ上にも挙げた超有名キャラしか知らないので、「ふーん」と思いながらさらっと流し気味に読んだというのが正直なところです。
でも、三国志に一家言あるような人は、さらっと流すわけにもいかないんじゃないかなぁ。
突っ込みたくなるようなところや、もっとこうして欲しかったと思うようなところがあったりするのでしょうか。
宮部さんと趣味が合えばいいのかもしれませんが、合わない場合ももちろんあるでしょうし。
ぜひ、三国志ファンによる「二軍三国志」の感想を聞いてみたいです。
そして、二軍三国志のエピソードが終わったと思ったら、次はホラーですって。
それも、ゾンビ系。
これまた私は縁がないジャンルなので少々不安ですが、基本はお気楽コメディファンタジーなので、それなりに楽しめるんだろうなとも思います。
こうなるとゆるさ加減がうまくハマっていると言っていいのかもしれません。


もちろん肝心の魔王に会うための旅の行く末も気になるところです。
シリーズも後半に突入し、次巻あたりから核心に迫っていくことを期待したいところですが、そこはなにしろ脱力系小説なので、こちらもゆる~く続きを楽しみにしたいと思います。
☆4つ。


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