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tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『3月のライオン (10)』羽海野チカ


零と同じ高校に進学し、充実した日々を送るひなた。3年になり、やり直した高校生活を自分なりに振り返る零。2人のもとに思わぬ人物が現れて…。珠玉の第10巻!!

9巻から1年2か月ぶり、待望の最新刊。
待った甲斐がありました。
今まで以上に一コマ一コマ、大切に、慈しむように、細かいところまで丁寧に描かれていると感じて、読んでいるこちらも思わず力が入ってしまいました。


何と言っても全編を通してひなちゃんがかわいい。
全ての登場コマで、とにかくかわいい。
それはきっと、零くん目線で描かれているから。
零くんの瞳には今、ひなちゃんはこんなにもかわいく映っているのね、と、思わず林田先生と一緒に「もだもだ」していた(笑)前半。
しかし後半の展開はもう、予想外すぎて。
いろんなことすっ飛ばして、いきなりそう来る!!?
周りの人間の想像の斜め上を行くのが零くんらしさとは言え…さすがにこれは斜め上すぎるよ!?


でもね、これでいいんだ、と思いました。
唐突すぎるように見えるけれど、本人の中にはちゃんと今まで着実に積み重ねてきたものがあって、彼なりに筋道立てて考えた結論が、あの言葉だったのですよね。
空気なんか読まなくていいのです。
どん引かれてもいいのです。
大人げなくたっていいのです。
思いやりや優しさだけでは、大事な人たちは守れないのです。
「偽りの草食系」、よくやった!!
このまま突っ走ってほしいです。
そしてどうか、川本家を救ってあげて。
零くん、お願い!!って頼りたくなる雰囲気が、今の零くんには確実にあって、1巻の頃のうじうじと暗い感じだった彼の姿を思い起こすと、ああ、本当に成長したんだなぁ――と思って胸がギュッとなりました。


他にも幸田家のお母さんの話とか、入江棋士との対局とか、いろいろ感じたエピソードがあったのに、最終話の零くんが全部持ってっちゃった(笑)
こういう形の「男らしさ」もあるんだなぁ、と勉強に(?)なりました。
だんだんクライマックスに近づいている感じもしてちょっとさみしさもありますが、とにかく今は続きが楽しみでなりません。
そして、今回は本編では泣かなかったのに、あとがきマンガを読んでいたら気付かぬうちに涙がポロポロこぼれていました。
羽海野先生も「辿り着きたい場所を持った人間」なのですよね。
「ファイター」なんですよね。
うまく言えないけど、私も頑張ろう――と、そう思わせてくれました。
先生ありがとう、どうかお身体大切に。