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tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『レディ・マドンナ 東京バンドワゴン』小路幸也

レディ・マドンナ (7)  東京バンドワゴン (集英社文庫)

レディ・マドンナ (7) 東京バンドワゴン (集英社文庫)


堀田家は、下町で古書店「東亰バンドワゴン」を営む四世代の大家族。一家の大黒柱である勘一は、齢八十を超えてもなお元気に店を切り盛りしている。なにやら、そんな勘一をお目当てに通ってくる女性客がいるようで…?さらには、蔵から貴重な古本が盗み出されて一家は大混乱!次々に事件が舞い込む堀田家を、“母の愛”が優しく包んで、家族の絆をますます強くする。大人気シリーズ第7弾!

祝・「東京バンドワゴン」ドラマ化!!
もともと昭和の頃のテレビドラマをイメージして書かれた作品ですから、いつかはドラマ化されるものと思っていましたが、意外と実現まで時間がかかりましたね。
シリーズ愛読者はそれぞれに「この人物のキャストはあの俳優さん」とかいうふうにこだわりも持っているでしょうから、どんどんドラマ化へのハードルが上がっていくのではないかと心配していましたが、発表されたキャストを見ると、案外悪くないかなぁという感じです。
我南人役が玉置浩二さんとは驚きましたが、歌のうまさは疑いようのないところなのでぜひ劇中でライブのシーンなどあるといいなと思います。
サチおばあちゃんは、個人的には市原悦子さんがよかったなぁ…。


で、東京バンドワゴンシリーズの新刊刊行と文庫化は毎年春の恒例行事になっているのですが、今回はドラマ化のアピールのためでしょう、春に続いてこの時期にも文庫化と相成りました。
年に2回も東京バンドワゴンシリーズが楽しめるなんてラッキー。
もう7作目にもなるんですね。
サチおばあちゃんの優しい語り、堀田家全員が揃う朝食シーン、独特な(?)味覚を持つ勘一、家族だけではなくご近所さんを巻き込んでのドタバタ、堀田家に降りかかる謎の出来事…。
1作目からずっと変わらないお約束パターン。
マンネリそのものとも言えますが、このマンネリズムこそが昭和のテレビドラマっぽくていいのです。
だんだんミステリ度が下がっていっているような気がして、そこは少し残念ではあるのですが、相変わらずLOVEと人情にあふれた気持ちのいいストーリーで、絶対の安心感があります。


前作では悲しい別れがありましたが、今回は新たな出会いや誕生もあり、希望に満ちたストーリーになっています。
高校生になってすっかり大人っぽく、女らしくなってきた花陽や、相変わらずギター三昧の研人、3歳になっておしゃべりも上手になったかんなちゃん・鈴花ちゃんの子どもたちの成長も著しく、シリーズを追いかける楽しみがどんどん増しています。
そして、『レディ・マドンナ』のタイトル通り、お母さんたちの強さや優しさが特に印象的な話にもなっています。
すでに亡くなってしまった人たちの話題もちょくちょく出てきて、家族の絆の強さにうらやましさを感じました。
最終話の展開はうまく運びすぎかなぁという気もしましたが、これも勘一の、ひいては堀田家の人徳が呼び寄せた運なのかもしれません。
サチおばあちゃんによる最後の1行がなかなか泣けました。


シリーズが進むごとに、どんどん賑やかになっていく堀田家と、堀田家を取り巻く人々の物語。
これからどんな展開が待っているのか、楽しみです。
そういえば、今回ドラマ化によって文庫化のスケジュールが早まったけど、その分来年の春は刊行なしとか、そういうのは勘弁してほしいなぁ…。
☆4つ。