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tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『RDG5 レッドデータガール 学園の一番長い日』荻原規子


いよいよ始まった戦国学園祭。八王子城攻めに見立てた合戦ゲーム中、高柳が仕掛けた罠にはまってしまったことを知った泉水子は、怒りを抑えられなくなる。ついに動きだした泉水子の運命は…。大人気シリーズ第5巻!

この春アニメ化されたRDGシリーズの第5作。
次の6巻で完結なので、この5巻はシリーズを終幕へ導くための、とても重要な巻と言えます。


泉水子や深行たちが生徒会執行部として準備に時間をかけてきた学園祭が、ついに始まります。
戦国をテーマにした学園祭の会場を、黒子として駆け回る執行部のメンバーたち。
学園内に暗躍する陰陽師の一派が仕掛けた何かを警戒しながら、泉水子や深行もそれぞれの仕事に励みます。
いよいよクライマックスの合戦ゲームが始まるなか、泉水子は高柳の一派につかまってしまいます。
高柳の罠に気付き、怒った泉水子は、ついにその本当の力を発揮しますが…。


シリーズの結末に向かって一気に物語が動いた感じです。
この学園祭で、高柳と真響(まゆら)の学園トップをめぐる争いに決着がつくものと思われていましたが、事態は思わぬ方向に。
自分と姫神の関係の真実に気づいた泉水子。
1巻から比べるとずいぶん成長し、強くなった泉水子ですが、それでも姫神の全てをひとりで背負えるほどになったわけではありません。
それを踏まえての、深行との複雑な関係がなんとも切ない。
深行が自分に関わってくれるのは、姫神のことがあるからではないのか、自分が姫神のせいで深行に迷惑をかけているのではないかと思い悩む泉水子が気の毒に思えました。
何よりも普通の女の子として生きたいと願っている泉水子。
そこを高柳につけ込まれてしまうのですが、それも仕方ないのではと思えてしまいます。
でも、泉水子は自分の力の使い方が分からないだけで、無力なわけではないのです。
そして、深行や真響・真夏のきょうだいをはじめとする仲間もいる。
泉水子も深行も、お互いにお互いを信用しきれていなかったと気づき、ようやく本当の信頼関係にたどり着くラストがすがすがしいです。


それにしてもどうもこのシリーズは緊迫感のあるはずの状況でも、妙にコミカルというかユーモラスなところがあるので拍子抜けしてしまいます。
まぁそこが面白いのですけれども。
4巻では姫神の言動がコミカルで笑えるほどでしたが、この巻では高柳が犬の姿になってしまうところが笑えました。
しかも白い和犬。
ソフトバンクの犬のお父さんみたいなイメージでしょうか。
そして、犬好きなゆえに犬の姿になった高柳を邪険にできない深行も面白かったです。
私も犬好きなのでなんだか親近感を持ちました。
そんな深行と高柳の会話もコミカルです。
でも、実はとても大変なことが起こっているという場面なんですよね。
そのギャップがおかしくて、なんだかほのぼのとした気分で読み終えました。
もちろん、次の最終巻でどんなことが起こるのか分かりませんし、まだまだ不穏な空気は続いているに違いないのですが…。


ついに真の力を発揮した泉水子の学園生活は、深行との関係は、姫神との関係は、どうなるのか楽しみです。
最終巻、いい結末にたどり着くといいなぁ。
☆4つ。