tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『流星の絆』東野圭吾

流星の絆 (講談社文庫)

流星の絆 (講談社文庫)


何者かに両親を惨殺された三兄妹は、流れ星に仇討ちを誓う。14年後、互いのことだけを信じ、世間を敵視しながら生きる彼らの前に、犯人を突き止める最初で最後の機会が訪れる。三人で完璧に仕掛けはずの復讐計画。その最大の誤算は、妹の恋心だった。涙があふれる衝撃の真相。著者会心の新たな代表作。

久々に一気読みでした。
先が気になってなかなかしおりを挟めなかった。
それを思うと、連休中という今の時期に読めてよかったです。


ある日幼い三兄妹を襲った悲劇。
こっそり家を抜け出して流星群を観に行った夜、両親が何者かに殺害されたのでした。
時が流れ、詐欺師として人を騙しながら生きる3人がターゲットに選んだ男のひとりは、事件当夜に三兄妹の一人が目撃した男の息子でした。
兄妹たちは、両親の仇を討つべく復讐計画を練り上げますが、そこには思わぬ誤算が…。


いやぁ、久々に東野さんにやられました。
いろんな意味で。
単純に兄妹の絆を描いた物語だと思っていたら、あんな仕掛けがあったとは…。
ラストのどんでん返しに脱帽です。
最後の終わり方は賛否両論あるようですが、私は好きですね。
救いのない結末よりはずっとよかったと思います。
ただ、上のあらすじを読むといかにも感動大作のようですが、泣ける泣けないで言えば、私は泣けませんでした。
最初の事件の後の幼い兄妹の悲しみの描写にはさすがにぐっと来ましたが、泣くというほどではなかったです。
ですから感動ものという意味では少々期待はずれではありましたが、それ以上に途中のストーリー運びがとても面白かった。
3人が働く詐欺の鮮やかさ、事件の真相に少しずつ近付いていく過程、真犯人(と目した人物)との直接対決のスリル…。
中盤から終盤までは手に汗握る展開で一気に読まされました。
そして最後に意外などんでん返しですから。
いやはや、さすが東野さん、上手いです。


細かいことを言えば、三兄妹の心情をもう少しじっくり読ませてほしかったとか、事件の真相の暴き方と解決がちょっとあっけないとか、不満もないわけではありません。
それでもとても面白く読めて、読後感もよかったので、それだけで満足です。
あまり書きすぎるとネタバレしそうなのでもうやめておきますが、東野さんの最近の作品の中では久々のヒットでした。
容疑者Xの献身』以降の長編は、ちょっと失速気味?という感じがしていたので、安心しました。
『新参者』や『麒麟の翼』も早く読みたいものです。
☆5つ。




♪本日のタイトル:コブクロ 「流星」 より