tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

「借りぐらしのアリエッティ」

スタジオジブリ最新作の「借りぐらしのアリエッティ」を観て来ました♪
以下、ネタバレはありません。


子どもの頃、佐藤さとるさんのコロボックルシリーズに夢中になった私としては、この作品の世界観はツボでした。
本を読みながら幼い想像力を駆使して頭の中に思い描いた小人たちの世界が、映像化されて目の前に展開しているというだけでもう感動でした。
ストーリーは賛否両論みたいですが、「もののけ姫」以降のジブリ作品の多くがメッセージを詰め込みすぎて分かりづらくなっていたのに比べれば、今回はシンプルで分かりやすくてよかったと私は思います。
笑える場面もあれば、ジーンとした場面もありました。
ただ、「滅び行く種族」のくだりはちょっととってつけたような印象が拭えなかったのが残念。
ここはもう少し掘り下げるか、あるいは完全に取っ払って単純に小人の少女と人間の少年の淡い恋物語にした方がすっきりしたかもしれないなと思いました。
物語の締め方は、私はあれで正解だったと思います。
あの先を描いたらたぶん蛇足になってしまう。
観た人の想像力に任せることで、ラストシーンの切なさの余韻を残したまま終わらせられたのではないでしょうか。


絵と音楽の美しさはさすがジブリですね。
これはもう他のアニメ映画の追随を許さない。
ディズニーもきれいだし、個人的にも好きなんですが、人物の微妙な表情の動きとか、光と影の表現とかは圧倒的にジブリの方が上だと思います。
アリエッティたち小人の家族が暮らす「家」も細部まで丁寧に描き込まれていて、温かみがあって見とれてしまいますし、葉や草や花が生物の動きや風によって揺れる様子もとても自然で繊細。
どの場面を切り取っても一幅の絵画として飾っておけそうです。
動物や虫たちはコミカルに描かれていますが、何せ小人の目線から見るとコオロギやネズミも巨大生物なので、苦手な人はダメかも…(ナウシカ王蟲が大丈夫ならOKかな)。
で、その美しい絵にケルト音楽が合ってるんですね。
舞台は日本なのに、不思議なくらいに調和している。
とても心癒されるメロディーでした。
ジブリ作品と言えば久石譲さんですが、今回の作品に関して言えばケルト音楽を採用して大正解だったと思います。


それから、何かと批判されることの多い芸能人の声優への起用ですが、この作品に関して言えば悪くなかったと思います。
特に大竹しのぶさんと樹木希林さんはハマリ役!
ジブリ作品では声優に合わせてキャラ作りをすることも多い(「おもひでぽろぽろ」とか)ですが、今回もそうだったのかなと思うくらいキャラクターとこの2人の女優さんのイメージがぴったりでした(樹木希林さんには失礼かな…?笑)
アリエッティ役の志田未来さんもよかったと思います。


ということで個人的には満足のいく作品でした。
…とは言っても、ナウシカラピュタ・トトロの私的ジブリベスト3の牙城を崩すには全く至りませんが。
昨日NHKで放映されたジブリに関するドキュメンタリーを観たこともあって、やっぱり宮崎駿さんを越える才能はなかなか出ないのかなとは思いますが、「ゲド戦記」にしろこの「アリエッティ」にしろ、そんなに酷評するほどではないと私は思うので、ぜひ2作目に向けて頑張ってほしいです。