tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

「崖の上のポニョ」

崖の上のポニョ [DVD]

崖の上のポニョ [DVD]


海辺の小さな町。崖の上の一軒家に住む5歳の少年・宗介は、ある日、クラゲに乗って家出したさかなの子・ポニョと出会う。アタマをジャムの瓶に突っ込んで困っていたところを、宗介に助けてもらったのだ。
宗介のことを好きになるポニョ。宗介もポニョを好きになる。「ぼくが守ってあげるからね」
しかし、かつて人間を辞め、海の住人となった父・フジモトによって、ポニョは海の中へと連れ戻されてしまう。人間になりたい!ポニョは、妹たちの力を借りて父の魔法を盗み出し、再び宗介のいる人間の世界を目指す。危険な力を持つ生命の水がまき散らされた。海はふくれあがり、嵐が巻き起こり、妹たちは巨大な水魚に変身して、宗介のいる崖へ、大津波となって押し寄せる。海の世界の混乱は、宗介たちが暮らす町をまるごと飲み込み、海の中へと沈めてしまう―。
少年と少女、愛と責任、海と生命。神経症と不安の時代に、宮崎駿がためらわずに描く、母と子の物語。

先日の「金曜ロードショー」で鑑賞。
映画公開中には見そびれちゃったんだよね。


なんというか…どれだけ頭を空っぽにできるかを試されているような作品だなぁ。
ついつい大人は理屈で物を考えがちで、でも理屈で考えちゃうとこの作品はさっぱり意味が分からないんですね。
あちこちに意味ありげなアイテムや場面が出てくるんだけど、その意味を考え出すと先へ進めなくなってしまう。
理屈に合わない部分も「そういうものなんだ」と受け入れて、ポニョや宗介が可愛いとか、食べ物がおいしそうとか、海が生きているみたいとか、海の中の世界がきれいとか、そういう部分を純粋に楽しめた者勝ちの作品のような気がします。


ジブリの世界観が好きな私にはなかなか楽しめる映画だったのも事実です。
CGを一切使わず、全て手描きの絵はとても温かい感じがして、この作品の世界観にぴったりだと思いました。
ポニョが波の上を走る場面はジブリ作品らしくて、ワクワクしました。
CGを使わなくても迫力のある映像は実現できるんですね。
現代のCGに頼った映画作りに一石を投じる作品ではないかと思いました。
でもってやっぱりジブリ作品に登場する子どもは可愛い。
ポニョの可愛さ…特に今にも眠りに落ちそうな時の可愛さと言ったら!!
そうそう、ご飯食べながら寝ちゃう子、いるよね〜なんてほのぼのしつつ、母性本能をくすぐられました(笑)
となりのトトロ」のメイちゃんと年齢的に同じくらいなのかな。
ポニョが魚でも人間でも大好きだとまっすぐに言える宗介の純真さもいいな。
他のキャラクターでは宗介のお母さんがかっこいい!
船員の旦那さんのためにご馳走を作っていたのに、帰ってこれなくなったと分かった途端ふてくされて「外食しよう」と言い出すとか、なんだか可愛い一面もあります。
職業は介護ヘルパーだなんて、現代的なところもいいですね。
あとはポニョの妹たちも可愛かったなぁ。
一体何匹いたのやら??


基本的には、頭を空っぽにして純粋な心で楽しむべき作品なのだとは思いますが、いろいろ気になる部分があるのも事実。
そのうちの一つ、ポニョの本名が「ブリュンヒルデ」だというところで、
ブリュンヒルデと言えば「ニーベルングの指環」、ってことはこのどこかで聴いたことのあるようなメロディーはもしかしてワーグナー??
…とはチラッと考えていたんですが、どうやら当たりだったみたいです。
こんな解釈を見つけました(ネタバレ注意!)>崖の上のポニョの解釈(12歳以上向け): 心を支える心
――すごいなぁ。
こんなに深い作品だったんだ!?
こんなの相当深い知識を持っていないと分かんないよ。
私はブリュンヒルデからニーベルングの指環を連想できても、それを元にストーリーを解釈することはできませんでしたが、だからと言ってこの映画が全く面白くなかったわけでもなく、それなりに満足です。
宮崎監督の意図は、やっぱり子どもが楽しんで観れることが第一だっただろうと思いますし、ところどころに「となりのトトロ」を想起させる部分があったのは子どもの頃からジブリ映画に親しんできた者として単純にうれしかったです。
宮崎監督の次回作がもしあるのなら…久々に「天空の城ラピュタ」のような冒険活劇を期待したいところですが。


7月に公開されるジブリの次回作「借りぐらしのアリエッティ」も楽しみです。
原作のメアリー・ノートン『床下の小人たち』って子どもの頃に読んだことあるような気がするな…。
子どもの頃に読んだ本がジブリによって映画化されるのは「魔女の宅急便」に続いて2作目。
スタジオジブリによってどんなふうに世界観が膨らむのか、とても楽しみです。
主題歌もケルト音楽風で(というかケルト音楽そのものか…)いい感じでした。
公開を期待して待ってます。




♪本日のタイトル:藤岡藤巻と大橋のぞみ 「崖の上のポニョ」 より