tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『ブレーメンII (3)』川原泉

ブレーメン2 第3巻 (白泉社文庫 か 1-16)

ブレーメン2 第3巻 (白泉社文庫 か 1-16)


ブレーメンII号に乗り込んできたのは、働く動物の第一世代、虎の連邦捜査官・シャキールさん。ブレーメンII号の乗組員達が憧れる彼の目的は、かつて乗組員達を苦しめた犯罪者・ヘルツォーク…!?

今回はけっこうシリアスな展開が多く、スプラッタな場面もあったりして、ちょっといつものノリとは違う感じ。
でものほほんとしたキャラクターたちと妙におかしい独特の台詞回しでやっぱりほのぼのと笑わせてもくれます。


3巻で初登場の「ブレーメン(働く動物)」第一号、虎のシャキールさんがクールでかっこいい!!
人間からの差別と偏見と蔑みの嵐の中で、それでも人間たちのために働き、信頼できるパートナーも得て捜査官としての実績を積み重ねてきたシャキールさんは、他のブレーメンたちからの尊敬を集めるにふさわしい偉大な先駆者なのです。
そしてブレーメンだろうが謎の宇宙人だろうが自分たち地球人より下等だとみなすことのない主人公キラ・ナルセも尊敬に値する人物ではないかと思います。
ブレーメンたちが惑星フロリナの人々から不当な扱いを受けたことに対して心から怒るキラが素敵です。
シャキールさんやキラと、優秀な他の生物たちをその身に取り込み何者よりも優れた生き物になろうと企むヘルツォークとの対比が印象的。
この広い宇宙に生きる生命に上等も下等もないんだという作者のメッセージが聞こえてくるような気がします。


次の4巻で完結のようで、どんな結末が待っているのか楽しみです。
ブレーメンたちもキラたち人間もみんな笑顔のラストシーンだといいなぁ。




♪本日のタイトル:いきものがかり 「YELL」 より