tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『ブレーメンII (2)』川原泉

ブレーメン2 第2巻 (白泉社文庫 か 1-15)

ブレーメン2 第2巻 (白泉社文庫 か 1-15)


天才少女船長キラと動物乗組員達が乗り込んだ宇宙貨物船ブレーメンII号。次の寄航地では狂信的な教団による誘拐事件に立ち向かう。超新星爆発までのタイムリミットはあとわずか…無事救出なるか?

ギャグ調のおバカなノリと、本格的SFとのギャップが面白い。
今回は実在の某宗教団体と酷似したカルト教団が登場し、緊迫感の増す展開に…と思いきやそれほど緊迫感があるように思えないのは、川原マンガ特有ののほほん感のせい。
でもこののほほんとした雰囲気が本当に気持ちよくて好きです。
のほほんギャグマンガかと思って読んでいると、思わぬところで泣かされたり、深く考えさせられたりするのもいいところ。
ブレーメンIIの船長・キラは一見クールなリアリストだけれど、困っている善良な人々を見ると放っておけないという人情味あふれる部分もあって、好感が持てます。
人間の都合のために生み出された、人間と同じ知能を持つ動物たちの働きっぷりや健気さにも胸打たれます。
自分たちの欲のために悪事に手を染めるカルト教団のような人間たちの愚かさとのギャップが興味深いです。
ブレーメンIIの宇宙の旅は、この先どうなるのか楽しみです。