- 作者: 谷川史子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/01/15
- メディア: コミック
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1人暮らしを始めた素子のもとにある日一通の手紙が届いた。酔った勢いで開けてしまったがよく読むと以前の住人宛のもの。出来心でつい返信をしたけれど後のやり取りが楽しくなって…。ほんわりとした日常の中にせつなさが行き来する珠玉の作品集。
【収録作品】ソラミミハミング/河を渡る、きみと歩く/我が家の食卓
あ〜、やっぱり癒されるなぁ。
傑作!…とまではいかないんだけど、しみじみ「いいなぁ…」って思える作品。
3つの短編漫画が収録されていますが、表題作「手紙」が一番好きです。
親元を離れて暮らす大学生に、実家のお母さんから届く手紙。
実はそれは前の住人宛の手紙なのだけれど、酔った勢いでその住人になりきって返信すると、また相手から返事が返ってきて、本当は赤の他人同士なのに、不思議な交流が成立するのです。
私はいまだに親元を離れたことがないのですが、親の存在って本当にありがたいものですね。
あれこれ口うるさく干渉してくる母親にイライラする主人公の気持ちもよく分かるのですが、親の立場にしてみれば子どもは何歳になっても子どもで、心配せずにはいられない存在なのだと思います。
ラストのお母さんの言葉に温かい気持ちになりました。
元気でいなさいね
いろいろ言ってもね
親はね
子供が元気でやってるだけでうれしいの
それだけでいいのよ
他、「ソラミミハミング」はもうダメになる関係だと分かっていながら意地を張って彼氏との同棲を続ける女の子、「河を渡る、きみと歩く」は彼との長い春に決別する決心をした女の子のお話。
どちらも切ないけれど読み終わった後に優しい気持ちになれる作品です。
この2作品は少しミステリっぽい描き方(最初はある事実が伏せられていて、後でそれが明かされる)をされていて、伏線がきちんと描き込んであるところもよかったです。
女の子キャラはみんな可愛いし、男性キャラも誠実でまっすぐな人物が多くて好感度大。
繊細な線で描かれた優しい絵柄と切なく温かなストーリーに涙腺を刺激されまくりでした。
おすすめ。