tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

「SUPERMARKET FANTASY」Mr.Children

SUPERMARKET FANTASY [初回限定盤:CD+DVD]

SUPERMARKET FANTASY [初回限定盤:CD+DVD]


【収録曲】
1. 終末のコンフィデンスソング
2. HANABI
3. エソラ
4. 声
5. 少年
6. 旅立ちの唄
7. 口がすべって
8. 水上バス
9. 東京
10. ロックンロール
11. 羊、吠える
12. 風と星とメビウスの輪
13. GIFT
14. 花の匂い

Mr.Childrenの15枚目のオリジナルアルバム。
毎回毎回新たな世界を見せてくれる実力はさすがだなぁと感心させられます。


SUPERMARKET FANTASY」というちょっと不思議なアルバムタイトルは、ジャケットデザインのプレゼン資料に添えられていた言葉なのだそう。
スーパーマーケットが大量消費を象徴する場所であるように、ミスチルの音楽も大量消費される音楽だと思う、とインタビューで桜井さんが話していました。
でも大量消費されたおかげで日本全国でライブができて、多くの人に喜んでもらえている、と。
大量消費を否定的に捉えるのではなく、大量消費だからこそ得られる喜びや夢を追い求めてみようというのがこのアルバムタイトルに込められた思いなのだそうです。
この言葉を見て、さすがだなぁと思いました。
音楽界でのミスチルの置かれた立ち位置をしっかり自覚していて、その自分たちの立場に悪い部分もあることを認めながらも前向きに捉えて、ミスチルだからこそ生み出せる音楽にこだわろうとしている。
なかなかこうしたことをはっきりと表に出せるアーティストはいないのではないかと思います。
大物の風格漂う言葉で、とても頼もしく感じられます。
このミスチルの前向きさに、ずっと私は助けられてきました。


桜井さんの言葉を象徴するように、大量消費される音楽=ポップ・ミュージックにとことんこだわったアルバムに仕上がっています。
パッケージもキラキラしていて、カラフルで楽しい感じですが、アルバム全体を通して聴いてみても、ポップさが感じられます。
でも、不思議なことに1曲1曲はどれもなんだか切なくて、泣けてきます。
特に今回は「大切な人の死」をイメージさせる楽曲が多いのが印象的です。
「花の匂い」の「別の姿で 同じ微笑で あなたはきっとまた会いに来てくれる」という歌詞などはストレートに「生まれ変わり」を歌っていて、これまでのミスチルの曲にはない死生観が表れているように思います。
実は桜井さんの実父が亡くなっていたということがこのアルバム発売直前に明かされています。
もちろんその出来事も影響はしているのでしょうが、それ以上に桜井さんがこれまで積み重ねてきた人生の中で、自然とたどり着いた考えや想いがあるのではないかなぁという気がしました。
そうした「死」を歌った曲であっても、歌詞はとても前向きで勇気付けられる思いがします。
落ち込んでいるときに明るい音楽を聴くのは却ってよくないなどと言いますが、このアルバムはポップな音楽でありながらどんな気分にも自然に寄り添ってくれます。
どんなにネガティブな気分に陥っている時でも、このアルバムを聴いたらいつの間にか元気になっていそう。
これからもまた、ミスチルの前向きな音楽に背中を押してもらうことになりそうです。
春のライブが本当に楽しみです。