tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

ENGLISH JOURNAL 8月号

ENGLISH JOURNAL (イングリッシュジャーナル) 2008年 08月号 [雑誌]

ENGLISH JOURNAL (イングリッシュジャーナル) 2008年 08月号 [雑誌]

8月号のインタビュー1人目は、女優のテリ・ハッチャーさん。
海外ドラマには疎いもので、この女優さんのことは名前すら知らなかったのですが、「デスパレートな妻たち」で主演された人なんですね。
このドラマは「なんで『デスパレート』なんてあまり日本人には知られてなさそうな単語を訳さずにカタカナにしてそのまま使ったんだろう?」と疑問を覚えたので、タイトルだけは知っていたのです(笑)
で、結局なんでなんでしょうね??
このインタビューを聴いてもタイトルに関する疑問は解けませんでしたが、それでもなかなか興味深いインタビューでした。
テリ・ハッチャーさんにこの「デスパレートな妻たち」の主役が舞い込んできたのは、彼女が40歳になってからなんですね。
40歳にしてようやく当たり役が来るとは、かなり遅咲きだなぁと思いますが、それは彼女のそれまでの努力が認められたからなのかもしれないなと思いました。
インタビューの後半では、幼少時に叔父から性的虐待を受けていた過去についても告白しています。
その体験について語ることは辛いとは言われていましたが、それほど取り乱すこともなく、「この体験を自分から切り離すのではなく、自分の一部として抱いて生きていく、でもこの体験に支配されたりはしない」ときっぱりと言われていて、その強さに心を打たれました。
全体的にはきはきと話されていて、とても分かりやすい英語だったと思います。


2人目は人形遣いのバジル・ツイストさん。
彼は淡路島の伝統芸能、「淡路浄瑠璃」で使用される手法「道具返し」に感銘を受け、この手法を取り入れた舞台作品を発表されました。
この「道具返し」とは、ふすまを次々に開けていくことでお城のような大きな建物の奥行きを舞台上で表現する手法なのだとのことですが…時代劇でもそんな場面、見たことあるような…。
そういう日本の伝統的な舞台手法に、欧米の現代音楽や美術を組み合わせたのがバジル・ツイストさんの作品だそうです。
作品を見たわけではないので何とも言えませんが、日本人もほとんど知らないような伝統芸能をこうして外国の方が(ツイストさんはアメリカ人です)自らの作品に取り入れてアメリカや日本で上演するというのは面白い試みだと思います。
さまざまな伝統芸能がある中で、それら全てを次代に継承し、残していくことはなかなか難しいことだと思います。
でもその良さを知った人が、日本人であろうと外国人であろうと、こうやって新たな芸術として再生していくことで、さらに文化として発展していくことも不可能ではないと思います。
伝統文化の継承と、異文化の架け橋という2つの役割を担うツイストさんが、とてもまぶしく、うらやましく感じられました。
話も落ち着いた語り口と標準的なアメリカ英語で、とても聞きやすかったです。


最後はアメリカの元国務長官、リチャード・アーミテージさん。
このインタビューは外交と国防の一線で長年活躍した人ならではのエピソードが満載で、とても面白かったです。
特に、9・11テロの当日にロシアが核演習を行っていたという話や、70年代から80年代にかけて、日本の外交筋から「これこれの政策を実行するために外圧をかけてくれ」といったような要請を受けていたという話が強く印象に残りました。
9・11事件発覚後、ロシアにはすぐにアーミテージ氏から直接情報を入れていたそうで、意外とロシアとアメリカは仲がいいのかなと思いました。
しかし日本が防衛予算の決定などの政策に対し、アーミテージ氏に外圧をかけるよう要請していたという話はちょっと情けないですね。
何か政策を実行する際に、国民(あるいは反対勢力?)を納得させるために「アメリカが言ってるから」という理由付けを求めていたってことですよね。
アーミテージ氏も「これは悪習だ」と言い切り、ある意味日本の悪習の形成に加担してしまった責任を感じていると言われていました。
こうして「アメリカの属国」が出来上がってしまった、と…(-_-;)
けれどもそうした悪習からは、小泉政権以後脱却し始めているとも話されています。
本当かなぁ??
福田首相については、小泉さんよりも外交手腕は上であり、国民が思っているよりは優秀な政治家だと褒めておられました。
…本当かなぁ???
でも「解散・総選挙は洞爺湖サミット以後になるだろう」という彼の「予言」(このインタビューはサミットよりだいぶ前に行われたものです)は当たったわけで、今後福田首相が外交手腕を発揮できるのかどうか、注目したいところです。