tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『草の上 星の下』谷川史子

草の上星の下 (クイーンズコミックス)

草の上星の下 (クイーンズコミックス)


結婚してスイスで暮らしていた姉が、突然の帰国。久しぶりに会った姉の笑顔に、心の隅に片付けたはずの“ある気持ち”がよみがえり――姉妹の繊細な心の揺れを描いた表題作ほか、心打つ長編読切り3編を収録。
【収録作品】サルビア/プリズム/春が来たなら/告白物語

谷川史子さんの新刊♪
実は発売されていることを知らなかったのですが(コミックスの発売予定はチェックしてないもので…)、ここ最近このブログに「谷川史子」+「新刊」での検索からのアクセスが多かったおかげで発売に気づくことができました(笑)
検索して来てくれた皆さん、ありがとう(っていうかお望みの情報はなかったでしょう…すみません)。


やっぱり谷川さんの作風、好きだなぁ。
繊細で可愛らしい絵柄も、ほのぼの切ないストーリーも。
しみじみと号泣(え?言葉の組み合わせがヘン?)しちゃいます。
現在は「コーラス」など、大人向けの雑誌で作品を発表されている谷川さん。
読者層に合わせて登場人物も大人になっていますが、昔「りぼん」で描いておられた頃の中高生のキャラクターたちが可愛らしさもいじらしさもひたむきさもそのままに大人になったようなキャラクターが多くて、とても優しい気持ちになれます。
女性たちは愛らしく健気で、男性たちはそんな女性たちをそっと支えていて。
恋に仕事に人間関係に、いろいろと悩みながらも頑張っている姿に共感が持てます。
気がつくと登場人物たちと共に泣いたり笑ったり。
今回は恋愛ばかりがテーマではなく、姉と妹、先生と生徒、父と娘といった、近いような遠いような微妙な関係を中心に描かれています。
「以心伝心」などという言葉で語られることも多いこれらの関係ですが、不器用でも言葉をぶつけ合わなければ分かり合えないこともある…。
そんな、当たり前だけれども忘れがちな大切なことに気づかせてくれる短編集です。
収録されている4作品(「告白物語」はあとがきマンガなので除いて)、どの作品もいいのですが、特に気に入ったのは「春が来たなら」かなぁ。
この作品の最後の2ページは涙が止まりませんでした。


先日読んだ『くらしのいずみ』もとてもよかったけれど(「ダ・ヴィンチ」でプラチナ本に選ばれてましたね!)、この『草の上 星の下』もおすすめです。
自分の周りにいる人たちを大切にしようと、そう思わせてくれますよ。