tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

ENGLISH JOURNAL 12月号

12月号のリスニングCDは、イギリス英語特集。
イギリス英語が好きなんだけど苦手、という私にはぴったりの特集ですね。
そんな12月号のインタビューは、俳優のヒュー・グラントさん、作家のカズオ・イシグロさん、音楽家のマイケル・ナイマンさんでした。


ヒュー・グラントさんといえば…大学のとき、授業で「フォー・ウェディング」(Four Weddings and a Funeral)を観たっけ。
この人の英語は典型的なイギリスの知的階級英語だそうです。
あ〜、私の苦手なタイプの発音だわ(笑)
聴き慣れてくれば、わりと一音一音はっきりと発音しているので分かりやすいのですが、アメリカ英語とはかなり響きが違っていて慣れるのが大変でした。
しかも話の内容もイギリス人らしく遠まわしな言い方が多く、イギリス流ブラックユーモアも交えられていて、理解していくのが大変。
「遠まわしな表現を好む」という点では、イギリス人と日本人の話し方は比較的似ていると思うのですが、やっぱり非ネイティブにとってはダイレクトな表現を使ってもらった方が分かりやすいですね。
日本の英語教育がアメリカ英語に偏っているのは、直接的で分かりやすいから?
…ってわけでもないか(^_^;)


作家のカズオ・イシグロさんは、最近よく名前を見聞きするので気になっていました。
『わたしを離さないで』(Never Let Me Go)は今年のこのミスで10位に入ったんですよね。
名前と顔写真だけ見ると思いっきり日本人ですが、CDの音声だけ聴いているとイギリス人としか思えない…。
長崎県生まれで、6歳のときに家族とともにイギリスへ移住してその後日本に帰ることもほとんどなかったため、日本語はほとんど分からないのだそうです。
そのため彼は自分のことを「国籍のない作家」と呼んでいるそうです。
なるほどねぇ…確かに日本人と言っていいのか、イギリス人と言っていいのか…どっちも微妙に違うような気がします。
インタビューの中ではやはり『わたしを離さないで』についての話が印象的でした。
「大人の読者に子ども時代を疑似体験させたかった」といい、ネタばれしないようにうまく作品の内容を紹介してくれたので(この辺りはさすが作家ですね)、すっかり興味を惹かれて読みたくなってしまいました。
他の話も、全体的に理路整然とした話し方だったので、苦手なイギリス英語とはいえ理解は難しくなかったです。


最後のマイケル・ナイマンさんは、トヨタのCMの曲や「ナビィの恋」などの映画音楽を手がけるなど、日本と非常になじみの深い音楽家です。
年齢のせいもあるのかもしれないけれど、非常に落ち着いた話しぶりで、声は小さめながらとても分かりやすい英語でした。
映画「ナビィの恋」は沖縄が舞台になっているのですが、沖縄音楽を聴いて魅了されたのがこの映画に関わることになったきっかけだったそうです。
沖縄音楽は私も好きですが、イギリスの人の琴線にも触れる魅力を持っているのですね。
なんだかそれがとてもうれしかったです。
三線奏者やネーネーズなどの名前が挙がっていましたが、イギリス人が奏でる沖縄音楽というのも面白いかも。
イギリスと沖縄ってかなりイメージが違うもんね。
音楽に国境はないんだなぁということを感じたインタビューでした。