tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『月館の殺人(下)』綾辻行人&佐々木倫子

月館の殺人 (下)??

月館の殺人 (下)??


漫画界屈指のヒットメーカー=佐々木倫子&本格ミステリの旗手=綾辻行人。2人がガッチリ組んだ、珠玉の鉄道ミステリコミック。そのトリックと人間ドラマが鮮やかに収束する“解決編”収録の「下巻」が、遂に刊行。

上巻があまりにも先の気になる終わり方だったので、この下巻が出るまでの1年がとても長かったです(^_^;)
あまりに長すぎて内容を忘れかけていたので、まず上巻を読み直してから下巻に挑みました。


まず、いきなり下巻の最初で明かされる衝撃の事実にびっくり。
ええ〜、やっぱり最初から綾辻さんお得意のアレだったの〜!?
っていうかこれ鉄道ミステリちゃうやん(笑)
「テツ道ミステリ」でした…というオチだったのね…。
でも上巻に伏線はちゃんとあちこちに張られていたのですね。
全然気付きませんでした(ダメダメ)。
佐々木さん、さりげなく、でも確実にヒントを描き込んでるあたりさすがですね。
画力のない漫画家には出来ないことですよ。
ギャグにすっかり惑わされてしまいました(^_^;)
でも犯人はなんとなくこの人かな?と下巻の途中で思ったのが当たってました。
っていうか消去法で考えたらこの人しか残らなかったのよね(あまり推理になってない…)。
個人的にはちょっと動機の点で不満があるのですが、全体的に謎解きは漫画という媒体がうまく生かされていて、良かったと思います。
綾辻さんと佐々木さんはかなりみっちりと打ち合わせをされたのでしょうね。
そう思わせるだけの、非常に丁寧に作られた、完成度の高い作品に仕上がっていました。
ヒロイン・空海のボケっぷりやテツ(鉄道オタク)たちの濃ゆいキャラクターには佐々木さんの持ち味がよく出ていたと思います。
綾辻さんの館シリーズのファンの方、佐々木さんのおとぼけギャグが好きな方、どちらにもおすすめいたします。