tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

ENGLISH JOURNAL 6月号

6月号のリスニングCD終了。
この号のインタビューは、アメリカ初の女性ニュースキャスター、バーバラ・ウォルターズさん、人気ファンタジー「バーティミアス」シリーズの作者、ジョナサン・ストラウドさん、日本国憲法起草に関わった元GHQ職員、ベアテ・シロタ・ゴードンさん。


まず、バーバラ・ウォルターズさんはさすがアナウンサーだけあって癖のない話し方で聴き取りやすかったです。
話の内容も面白かった!
多くの著名人に対しスクープ・インタビューを行ってきた彼女のキャリアを説明する中で、実際にニクソン元大統領とモニカ・ルインスキーさんへのインタビュー音声を聴くことができました。
ニクソン元大統領は最初バーバラ・ウォルターズさんからのウォーターゲート事件に関する質問をはぐらかしてばかりなのに、最後は本音を漏らしていました。
この本音を引き出すテクニックはさすがプロですね〜。
モニカ・ルインスキーさんは可愛らしい声でしおらしく「馬鹿なこと(=クリントン元大統領との不倫)をした」と言っているのがちょっと意外でした。
もっと気が強い女性というイメージがあったのですが、彼女のこういう一面を引き出せるのもバーバラ・ウォルターズさんの実力ゆえなのでしょうか。
けれどもこんなに優秀な彼女も、アメリカで初の女性キャスターということでかなり苦労もしたようです。
キャスターになる前、大学を出て初めて就職した会社で、経営者に「君を採用したのは脚がきれいだったからだ」と言われて失望し、テレビ局へと転職するものの、女性として初めてニュースキャスターへの登用が決まると、同僚の男性キャスターたちからは「女がテレビに出るなんて、吐き気がする」などと言われたそうです。
う〜ん、40年前の話とはいえそんな時代もあったのか…とちょっとびっくりしてしまいました。
いまや「女子アナ」はアイドル並みにちやほやされていると言うのに…(それはそれで問題なのかな?)。


次のジョナサン・ストラウドさんはバリバリのイギリス英語。
でも最近だいぶ慣れてきたのか、イギリス英語でもかなり聴き取れるようになってきました。
彼の話は本の話が中心で、私の好きな話題ということもあって聴き取りやすかったのかもしれませんが…。
ちなみに「バーティミアス」シリーズという作品は知りませんでした(^_^;)
かなり人気がある児童向けファンタジーだそうで、現在映画化の企画が進行中だとか。
ロード・オブ・ザ・リングのような3部作の大作シリーズになるそうです。
なんか最近ファンタジーの大作映画が多すぎて追いきれないなぁ。
いくらファンタジー好きでもそろそろおなかいっぱいという感じもするけど、まだこのファンタジーブームは続くんでしょうか。
この「バーティミアス」シリーズでは作品中で脚注を多用しているという話は面白いなと思いました。
登場人物がその脚注を書いている、という設定なのだそうです。
また、「大人は話題になっているからというだけの理由でも読んでくれるが、子どもは自分が面白いと思う本しか読まない」という話には納得しました。
子どもは自分の気持ちに素直ですもんね。
私も素直な気持ちで読書しないとなぁ(^_^;)


最後のベアテ・シロタ・ゴードンさんの話には思わず引き込まれ、感動してしまいました。
彼女は紅一点として、また最年少として、日本国憲法の作成に参加した人です。
当時なんと若干22歳だったそうですが、日本語ができたためにGHQに抜擢されたのだそうです。
そして、彼女が若い女性の立場から当時の日本を見て、日本国憲法に盛り込むことが必要と考えたのが、女性の権利と福祉に関することでした。
その結果生まれたのが両性の平等を定めた第24条(「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し…」)でした。
この条文はマッカーサー元帥にも気に入られ、最終案に残ったのですが、本当は女性以外にも子どもなど社会的弱者の権利と福祉に関する条文案も多数作成し、提出していたのだそうです。
けれども、それらは「日本人には受け入れられにくいだろう」「アメリカの憲法で規定されていない権利は日本の憲法にも必要ない(アメリカの憲法には女性の権利に触れている条文もないのだそうです)」などの理由で却下されてしまいました。
今私たちは男だろうと女だろうと、自分の意思で選んだ人と結婚することを当たり前と思っていますが、それはベアテさんが憲法作成のメンバーにいたおかげで生まれた「当たり前」だったのですね。
今の憲法を「アメリカから押し付けられたものだ」と考える人もいますが、押し付けられたからこそ得られたものも確かにあったのだと思うと感動がこみ上げてきました。
GHQの憲法起草メンバーもベアテさん以外はわりあい高齢の男性ばかりだったそうですし、日本政府側が作った案は日本帝国憲法とほとんど変わらないものだったといいます。
「歳若い女性が憲法起草に参加していた」と知られたらそれを口実に改憲されてしまうのではないかと恐れて、これまで参加の事実を公表してこなかったベアテさんですが、私としては彼女が憲法案作成に関わってくれたことに感謝したいと思いました。
日本国憲法が誕生してから60年、一度も改正されることなくこれまで存続してきましたが、今ならベアテさんが条文に入れたいと望んで叶わなかった社会的弱者の権利と福祉に関する条文を日本人の手で実現できるかもしれない。
そのための憲法改正ならば、私は喜んで賛成したいと思いました。