tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『Charlie and the Chocolate Factory』Roald Dahl

Charlie & Chocolate Factory movie novel

Charlie & Chocolate Factory movie novel


The classic tale of fantasy, this delightful masterpiece depicts all sorts of characters: greedy, selfish, obnoxious, compassionate, loveable, and generous. Recounting the adventures of four children bent on having their own way, the story's moralistic factor becomes uproariously apparent early on.

昨年ジョニー・デップ主演で映画化された「チャーリーとチョコレート工場」をペーパーバックで読みました。
いや〜面白かった!!!
映画は観たいと思いながら結局まだ観ていないのですが、これは確かに映像にしたら楽しそうだわ〜と思いました。


家が貧しくていつもお腹を空かせていて、1年に一度、誕生日にしか大好きなチョコレートを食べることができない少年、チャーリー。
彼の住む街にはウィリー・ウォンカという人が経営するお菓子の工場があるのだが、その工場は従業員の姿すら見えず、お菓子の製造方法も謎に包まれている。
そんなある日、当たりくじ入りのチョコレートバーを手にした幸運な子ども5人がウォンカの工場に招待されるというニュースが流れ…。
…というストーリーですが、子ども向け(Amazonでは9歳〜12歳向けとなっています)のお話と思って読んだら、ブラックユーモアや皮肉が満載でびっくり。
因果応報的なストーリー展開はいかにも子ども向けの教訓がこめられたおとぎ話っぽいですが、そういう部分よりもウォンカの奇想天外っぷりがやっぱり一番面白いかな。
ウォンカのセリフはエクスクラメーションマーク満載で、常にハイテンションなのがいいですね(笑)
でもジョニー・デップのイメージで読んでいたから、最後のほうで"I am old"なんて言っていてちょっとびっくりしちゃいました。
チョコレートの川をキャンディーの船で渡るなんて、子どもが喜びそうなネタもいっぱいです。
随所に言葉遊びが見られるのも楽しいですね。
特に私のお気に入りは"square candies that look round"。
「丸く見える(look round)四角いキャンディ」というのも十分変だけど、実はこれは四角いキャンディに顔(!)がついていて、「辺りを見回す(look round)四角いキャンディ」なのだ、というオチなのです(^_^;)
馬鹿馬鹿しくて脱力、でも確かに子どもはこういうギャグ好きだろうな〜。
工場で働く小人たち「ウンパルンパ」が歌う歌も面白いです。


子ども向けで英語は簡単ですし、言葉のリズムをよく考えたテンポのよい文章なので、中学レベルの文法が身についていればほとんど辞書を引かなくてもスラスラ読めます。
これはぜひ高校の英語リーダーの授業で副読本にするといいんじゃないかな。
英語のレベル的にもちょうどいいし、何より楽しく読めるのがいいですね。
日本の英語教育の問題点の一つは「英語を読む量」が圧倒的に足りないことだとしばしば言われます。
確かにそうですよね。
英文科出身の私の経験から言っても、英文学を専攻している人だって何十冊も原書を読むかといったら全然そんなことはないのですから。
それでもうちの大学の英文学の授業は全部原書を読まされたけど、中には翻訳されたものを読んで済ませる大学もあるそうですしね。
ましてや英語が専門じゃない人は、一生原書を1冊も読むことがないという人が圧倒的に多いのではないでしょうか。
でも、本当に小さな子ども向けの絵本でもなんでもいいから、高校生のうちに原書を1冊読んでおくというのは価値のある経験になると思います。
薄い本でも英語で1冊読み切ったというのは充実感もあり、自信もつきますからね。
読解力そのものは、まずは日本語での読解力がなければ英語でも読めないので、英語の授業だけで身につけさせるのは難しいでしょうが、「英語での読書体験」の機会がもっと中高生に与えられるといいな、と思います。