tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『ダ・ヴィンチ・コード』ダン・ブラウン

ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)

ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)


ダ・ヴィンチ・コード(中) (角川文庫)

ダ・ヴィンチ・コード(中) (角川文庫)


ダ・ヴィンチ・コード(下) (角川文庫)

ダ・ヴィンチ・コード(下) (角川文庫)


ルーヴル美術館のソニエール館長が異様な死体で発見された。死体はグランド・ギャラリーに、ダ・ヴィンチの最も有名な素描“ウィトルウィウス的人体図”を模した形で横たわっていた。殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、警察より捜査協力を求められる。現場に駆けつけた館長の孫娘で暗号解読官であるソフィーは、一目で祖父が自分にしか分からない暗号を残していることに気付く…。

さすが、世界的超ベストセラーになるだけのことはありますね。
もうめちゃくちゃ面白かったです。
次々に姿を現す暗号、ダ・ヴィンチの名画「モナリザ」や「最後の晩餐」に隠された謎の解明、ふんだんに盛り込まれた宗教、言語学、文学、歴史、映画等に関する雑学と薀蓄、意外な真犯人、サスペンスアクションにロマンス…。
よくぞこれだけのものをここまで詰め込みましたって感じ。
いやはや、すごいわ。
脱帽です。


この作品は私にとっては「懐かしい記憶」を呼び起こしてくれるものでした。
だからこそこれだけ楽しんで読めたのかなという気もします。
私は中途半端にキリスト教に関する知識があるのですが(高校が英国国教会系だったし、大学はキリスト教の知識が多少必要な英文学科だったし、現在なぜか身辺にクリスチャン多し)、それだけにこの作品に書かれていることには大きな衝撃を受けました。
だってまさか、「マグダラのマリア」が…ねぇ(全然知らなかったけどけっこう有名な話なんですかね?)
いや、キリストの人間的側面については高校の宗教科の授業でもけっこう聞いたような気がするけれど。
でも「最後の晩餐」の不思議な点については、キリスト教の知識が多少あれば気付くはずなのに、全然気付いていませんでした(^_^;)
情けない…。
モナリザの絵は実物をルーブル美術館に観に行ったことがあります。
間近で見るとやっぱり感動しますよ。
バッチリ写真も撮りましたし(笑)
この作品でのルーブル美術館に関する記述を読んでいる時は、「そうそう、そうだったなぁ」とかいちいち懐かしくて、またルーブルに行きたくなってしまいました。
また、殺されたルーブル美術館の館長ソニエールが残した暗号は伝統的な英詩の形式になっていて、大学の英文学の授業でコールリッジだのワーズワースだのブレイクだのシェイクスピアだのの詩に苦しめられた、懐かしくも嫌な経験も思い出しました(笑)
それから、この文庫版の中巻のラストあたりに描かれているある「秘密の儀式」、どこかで似たようなのを読んだな…と思い出してみると、京極夏彦さんの某作品にそっくりなのが出てきたではないですか。
もちろん国も時代も宗教も違いますが、古今東西似たような信仰や信念があったのだなと思いました。


そんなわけで私の趣味と過去の経験にぴったりハマる作品だったために、私はものすごく面白いと感じました。
ある程度の基礎知識(宗教、言語、文学、歴史、欧米文化)があったほうがより楽しめるかもしれませんが、普通にミステリとしても面白い作品だと思います。
特に暗号好きな人にとっては、次々に暗号が出てくる展開は垂涎ものでしょうね。
ただ暗号の難易度はそれほど高くはない気もします。
最後から2つ目の暗号は私でさえ途中で分かってしまったので。
でもそれが作品の価値を下げているということはありません。
むしろこれだけ専門知識満載でありながらすんなり読めるのは、謎解きが難解すぎず、解説が懇切丁寧であるからであって、一般向けの読みやすい小説になっていると思います。
アメリカ人らしいウィットとユーモアがところどころに散りばめられているのもさすが。
大満足の☆5つ。
というか多分今年の私的読了本ベスト1はこの作品でもう決まりのような気がします…。
この作品はラングドンシリーズ2作目なんですね。
1作目も読んでみなくちゃ。
映画もぜひ観たいです。
なんてったって主役が「フォレスト・ガンプ」のトム・ハンクス、「アメリ」のオドレイ・トトゥ、「レオン」のジャン・レノでしょ(ジャン・レノはファーシュ役なんですね…てっきりソニエール役かと思ってましたよ)
もうこのキャストだけで観たくなりますよ。
でもキリスト教保守派団体からは非難轟々で、映画制作のソニー・ピクチャーズはけっこう危機にさらされているとか。
この内容だから仕方ないけど…無事に何事もなく映画が公開されるといいなぁ(^_^;)