tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『Say Hello!あのこによろしく。』イワサキユキオ

Say Hello! あのこによろしく。 (ほぼ日ブックス)

Say Hello! あのこによろしく。 (ほぼ日ブックス)


なんでもない時間が
いちばんたいせつなんだと思いました。
あたりまえにある日常が
とてもしあわせなんだと思いました。
いつもいっしょにいられるだけで、
とてもぜいたくなことなんだと思いました。 (本文より)

コピーライターの糸井重里さんのサイト、「ほぼ日刊イトイ新聞」で昨年9月まで連載されていた「Say Hello!」という人気コンテンツを単行本化したものです。
ジャック・ラッセル・テリアという犬種のルーシーという犬がある夏の日に3匹の仔犬を産みました。
生まれてからどんどん成長し、やがてそれぞれの道を歩み始めるまでの1年間を、愛情深い写真とやさしさに満ち溢れた文章で綴っています。
最初は「ああ、仔犬ってなんて可愛いんだろう」と思いながら愛らしい写真を眺めています。
ところが、ページをめくるたびに、この本が単なる「可愛い仔犬の写真集」ではないことが分かってきます。
ひとつひとつのいのちが生まれ、育ち、巣立っていくまでには、深い愛情の眼差しでいつも見守ってくれる存在がきっとそばにいて、共に笑ったり泣いたりけんかしたりするきょうだいやともだちがいたのだと、当り前だけど普段忘れがちなことを思い出させてくれるのです。
気がつけば涙、涙…。
サイトでの連載時にはなかった加筆部分、「ハロー、グッバイ。」の章やあとがきに至ってはもう号泣です。
なんていのちは美しいのだろう。
なんて母という存在は偉大なのだろう。
本当に素晴らしい本でした。
ちょっと値段は張るけれど、買ってよかった。
「生まれてきてくれてありがとう」と伝えたい大切な人に贈りたい1冊です。
迷うことなく☆5つ。
興味を持ってくださった方は、まずはウェブ版をどうぞ>http://www.1101.com/say_hello/