tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『探偵倶楽部』東野圭吾

探偵倶楽部 (角川文庫)

探偵倶楽部 (角川文庫)


麗しき二人の探偵が不可解な謎を解き明かす!
<探偵倶楽部>―それは政財界のVIPのみを会員とする調査機関。
会社社長が風呂場で感電死した。
電気コードを用いた家政婦の犯行と処理されるが、疑問を感じた社長夫人は探偵倶楽部に調査を命じ…。
傑作ミステリ!

最近、母が私の部屋にやってきて、本の山(not 本棚)から本を借りていくようになりました。
「自室図書室化計画」は着々と成功への道を歩んでおります(違)


まぁそんなことは置いといて(笑)、この『探偵倶楽部』は、オーソドックスな殺人ミステリばかり扱った短編集です。
事件や謎解き自体には大してひねりもなく、だからと言って面白くないわけでもなく、特筆するところもないフツーのミステリなのですが、面白いのは収録作品全てに共通して登場する「探偵倶楽部」という会員制探偵事務所(?)の調査員の男女です。
この本における一番の謎はこの2人だと言っていいでしょう。
容姿端麗、冷静沈着、仕事は完璧…と三拍子揃っている2人ですが、名前も年齢も出身も私生活も2人の関係も、全てが謎に包まれています。
「探偵倶楽部」という超VIP限定調査機関の実態もかなり謎。
どこに事務所があるのか、どうやって会員を集めているのかすら分かりません。
一体この2人は何者!?
こんなに謎ばかりだと、殺人事件よりもこの2人のことばかり気になってしょうがないじゃないですか。
東野さん、いつか2人の正体を明かしてくれるんですよね!?(笑)
ミステリには探偵がつきものだけど、これほどまでに一切が謎に包まれている探偵というのも珍しいような気がします。


東野作品は『秘密』や『白夜行』などちょっと重めの長編を読み慣れているせいもあって、この短編集は少し物足りなく感じました。
それでも気楽にすいすい読めるのはさすがの筆力というべきでしょうかね。
時間つぶしに最適の1冊です。
☆3つ。