tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『機長からアナウンス』内田幹樹

機長からアナウンス (新潮文庫)

機長からアナウンス (新潮文庫)


スチュワーデスとの不思議な関係、UFO遭遇、業界の遅れた実態、頭の痛い「空港問題」、ハイジャック事件…。
空飛ぶ作家にしてパイロット生活35年の現役機長が明かすホントのところ。
日航機ニアミス事件も緊急収録。

職場の先輩から「面白かったからぜひ読んでみて」と貸して頂きました。
私はノンフィクションには疎いので、お薦めされるのはありがたいです。


作者の内田さんはパイロットとしての経験を元にミステリ作品も書かれていますが、この本は純粋にパイロットの仕事のことや航空業界の裏話などを書いたエッセイです。
薄い本ですが内容はぎっしり。
パイロットがコックピットで何をやっているのかがよく分かります。
多くの人の生命を預かる仕事だけに、精神的にも肉体的にもなかなか大変そうです。
「修学旅行の生徒たちが乗っている便では特に化粧室で喫煙するなという注意を強調しなければならない」って…ホント、大変ですよね(^_^;)
外国の航空会社のパイロットやスチュワーデスや整備士はあまりきちんと訓練を受けていない場合が多々あるという話にはちょっと怖くなりましたが、日本の航空会社では皆きちんと十分な訓練を受けているそうで、安心しました。
また、格安航空券を買う時にはちゃんと約款に目を通せという話には目からうろこ。
そうですよね、安ければその分どこかが削られているわけですから。
特に、外国の航空会社に乗った場合は、事故などが起こった場合、その国の法律の下で裁判や保障がなされるのですね。
やっぱりいざという時のことを考えると、多少高くても日本の航空会社を利用するのが一番よさそうです。
航空業界の制度的問題や、空港に対する辛口意見もなかなか面白いです。
「関空なんて早く沈んでしまえ!」には笑いましたが…パイロットにまで嫌われる関空って一体(-_-;)
でも関空に伊丹に神戸に、こんな狭い地域に3つも空港は要らないという意見には思わず大きくうなずいてしまいました(^^ゞ
今年はセントレアも開港したし、これ以上お金ばかりかかる空港を増やしてどうしようというのでしょうねぇ…。


将来パイロットになりたい人や、航空業界に興味のある人には非常にお薦め。
そうでなくても普通に自分の知らない業界の実態をのぞくのは楽しいものですよね。
☆4つです。