tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『スタジアム 虹の事件簿』青井夏海

スタジアム 虹の事件簿 (創元推理文庫)

スタジアム 虹の事件簿 (創元推理文庫)


いつも優雅なドレスに身を包み、綺麗な靴を履いて観客席に現れるおっとりした女性・虹森多佳子。
超弩級の野球音痴でありながら、なぜかプロ野球球団・東海レインボーズのオーナーを務める彼女は、奇妙な謎を次々と解決に導く才能も持ち合わせていた!
安楽椅子探偵の冴え渡る推理と、優勝の夢に向かって疾走する万年最下位球団の奮闘を描いた、値千金の愛すべき本格ミステリ。

はからずも今日の日記は野球の話題ばかりになってしまいました(^_^;)
いや〜、決して狙ったわけではないのですよ。


『スタジアム 虹の事件簿』、予想以上に面白かったです!
野球とミステリがこんなに本格的に結びついている作品を読んだのは初めてかも。
この作品の解説に野球ミステリの一例として挙げられている宮部みゆきさんの『パーフェクト・ブルー』は、高校野球のヒーローが登場するというだけで、野球の試合の場面なんかは出てきません。
ですが『スタジアム〜』はちゃんと野球の試合の様子が描かれているのです。
しかもそれが実況中継のようにテンポのよい文章で、読んでいるだけで球場の様子が目に浮かぶよう。
万年最下位球団の東海レインボーズは、かつての阪神タイガースのようで(笑)憎めないし、オーナーの多佳子の野球音痴から来る天然ボケっぷりはもはや才能!?
しかもその多佳子が、こと推理となるとものすごい切れのよさを見せるのです。
このギャップが非常に面白かったです。
こんな安楽椅子探偵もいいものですね。
野球音痴だからこその、野球ファンとは全然違う野球の見方も面白かったです。
やっぱり野球はいいな、と思いました。
願わくば、こんな面白い野球小説がもっとたくさん書かれるといいな。
☆4つ!