tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『ショート・プログラム』あだち充



あだち充さんの短編集『ショート・プログラム』。
ずっと読みたいと思っていたのですが、古いだけに普通の書店では売っていません。
が、つい最近運良くブックオフで発見!
早速購入しました。


短編でもあだち節は健在です。
『タッチ』や『H2』などと通じる「切なさ」が感じられるのは、1巻に収録の「近況」と2巻に収録の「ゆく春」。
「近況」は高校のクラス会に出席した主人公が、初恋の女性と再会するお話です。
設定はありがちですが、結末はけっこう意外。
「ゆく春」は泣かせます。
「なごり雪」のメロディーが聴こえてきそうで、この時期に読むにはぴったりの作品。
他に好きな作品は、結末が可愛らしい「チェンジ」(1巻)、珍しくはっきりとしたハッピーエンドを迎える「プラス1」(1巻)、探偵事務所の娘とアルバイト探偵の微妙な関係が面白い「春が来る前に…」と「若葉マーク」(2巻)、一切セリフなしの「震度4」。
もともとの掲載誌は「ちゃお」だったり「少年サンデー」だったり「ビッグコミック」だったりと対象年齢も性別もバラバラなのですが、どの作品もやっぱりあだち漫画、シンプルかつ丁寧な絵柄と絶妙なセリフとしっかりしたプロットで読み応え十分です。
カラーページが多いのもうれしいところ。
古本屋で見つけたら迷わず手に取りましょう。
きっと後悔はしません。