tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『H2 13巻 サンデーコミックスワイド版』あだち充

H2 (13) (少年サンデーコミックス〈ワイド版〉)

H2 (13) (少年サンデーコミックス〈ワイド版〉)

センバツ出場を賭けた秋季大会準決勝。
千川の対戦相手は昨年のセンバツ優勝高・栄京だった。
自分に「楽しむのではなく、勝つための野球」を教えた監督は去り、ひじの故障で剛速球を投げられなくなり、人望がないためレギュラーの座も追われたかつてのヒーロー、広田。
すべてを失った彼に残ったものは「野球が好き」というその気持ちだけだった…。
ほんの少し何かが変わった広田にさすがの比呂も苦戦。
しかし、野球を好きなことにかけては誰にも負けない千川高校野球部員たち。
最後は比呂の熱投で広田をねじ伏せる。
波に乗った千川はついに秋季大会優勝を決め、春の選抜大会出場をほぼ手中に収める。
お祝いムードの中、比呂に恋のライバル出現…?


この巻は春華ファン必見です!
春華のかわいさ満載ですから!
12巻でも比呂と春華はけんかしてしまったりしてなんだかギクシャクしていましたが、この13巻でもなかなかうまくいかない2人。
スチュワーデスを目指して英会話教室に通い始めた春華。
その教室の先生の息子で、千川高校柔道部員、帰国子女の三善と急速に接近し始めます。
その様子を見て面白くない比呂。
春華が三善に恋愛相談をしていると思い込み、思いっきり不機嫌になっている比呂はかわいいと言えばかわいいけど、よく考えたら春華が恋愛について相談しなきゃならない(結局これは比呂の誤解だったのですが)のは比呂がいつまでも春華に対する態度をはっきりさせないからじゃん!
けれども恋愛には不器用な比呂のこと、嫉妬するばかりで自分が積極的に春華に対してどうこうしようということはないばかりか、思わずこのことをひかりに愚痴ってしまい、そのシーンを春華に目撃されてしまいます。
あまりにうまくいかないことだらけでますますいらつく比呂はわざと春華をひかりと比べるような発言すらしてしまいます。
泥沼化してますねぇ。
春華からしてみればこの仕打ちはあんまりでしょう。
が!
それでも一度も涙を見せることなく、満面の笑顔で比呂が「一番好き」と言う春華。
けなげすぎ!!
さすがの比呂もようやく目を覚ましたか(?)、春華の夢を応援しようとし始めますが…実は三善は…。
そして、この13巻の、いや『H2』の最大の名場面です。

比呂
「I love you.
―ちがうか?発音。」
春華
「―ううん。
十分通じるよ。」

まさに「雨降って地固まる」?
でもやっぱり私はこのシーンが『H2』の数々の名シーンの中でも一番好きだなぁ。
もしかしたらひかり派の人には不評なのかもしれませんが…。
この後、話は一気に数日後に飛びますが、春華がはおっている上着がさりげなく比呂のものだったりするところが憎い演出だなぁと思います。
手をつないだりキスしたりといった直接的な「恋人らしい」表現は一切ありませんが、それでも2人がしっかり恋人同士になったんだなというのがたった一コマのさりげない絵ではっきりと分かるのですから。
大雪が降った朝にわざわざ春華を電話で呼び出して一緒にかまくらを作ろうと言い出す比呂もいいです。
なにより春華が幸せそうで本当によかったと思わされます。
が、これでめでたしめでたしとはいかないのがあだちラブコメ…?