tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『永遠の仔 第3巻 告白』天童荒太

永遠の仔〈3〉告白 (幻冬舎文庫)

永遠の仔〈3〉告白 (幻冬舎文庫)


弟の行動に動揺を隠せない優希を悲劇が襲う。
優希の実家が焼失。
その焼け跡から母の死体が発見され、容疑をかけられた弟は失踪する。
動転する優希を支えようとする笙一郎と梁平だが……。

3巻は少しページ数が少なかったので数時間で読んでしまいました。
というか、途中でやめられない。
すごく痛いし、辛いシーンが延々と続くのに、目を背けられない。
痛ましい虐待や、傷ついた子どもの心の描写の合間合間にある、美しい花や木や山や海といった自然の描写がクッションになってくれているのかもしれません。
ついに優希の「秘密」が明らかになりました。
やはり、予想通りのことでした。
お互いの「秘密」を告白しあって絆を深め、一見救われたかのように見える優希・笙一郎・梁平の3人ですが、その17年後の大人になった3人の姿を読むと、生きていく励みにはなっても、やはり本当の救いにはなってはいないということが分かり、胸が痛みます。
優希が亡くなった母を送るシーンでは涙があふれました。
優希は自分を救ってくれなかった母を憎んでもいたでしょうが、それでもその母が死んでも救われるわけではないのです。
17年前に優希たち3人は優希の父を殺害しましたが、その事件の後も、傷は癒えることはなく救われたわけでもなかったのと同じで。
親に虐待された子を救うことができるのも、やっぱり親だけなのかもしれない。
本当に痛ましいことです。


で、完結編の4・5巻が出るのは来月!?
何でそんな生殺しのようなことをするんですか…。
今からこの作品を買って読もうと思っている方は、来月4・5巻も発売されてから読み始めた方がいいですよ。
読み出したら最後、絶対に作品に引き込まれて、先が気になってしょうがなくなってしまいますから。