tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『MISSING』本多孝好

MISSING (双葉文庫)

MISSING (双葉文庫)


繊細な視線で描かれた物語が、心の奥底に潜むミステリアスな風景を呼び覚ます…。
小説推理新人賞受賞作「眠りの海」ほか「祈灯」「蝉の証」など、4作品を収録した処女短編集。

最近、「ミステリ」という言葉でくくってしまっていいものかと悩んでしまう「ミステリ」作品が多いような気がします。
本多孝好さんの短編集『MISSING』もそんな作品でした。
2000年の「このミステリーがすごい!」の10位にランクインしているので、「ミステリー」として認識されているようですが、実際読んでみて、ミステリーという感じはほとんどしませんでした。
確かに『眠りの海』は若干の謎解き部分があるにはあるのですが、他の作品はというと…。


『さみしさの周波数』の乙一さんなんかと同じような切ない系ですが、ちょっと後味の悪い話が多いのが残念。
「死」を描いてても文体のせいかちょっと軽い感じがしました。
もっと深いところまで踏み込んで書いて欲しかったような…。
どっちかというとミステリーよりは恋愛小説のほうが向いてるんでは?と思われる作風でしたので、次は恋愛ものを読んでみたいと思います。