tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『すべてがFになる』森博嗣

すベてがFになる (講談社文庫)

すベてがFになる (講談社文庫)


密室から飛び出した死体。
究極の謎解きミステリィ
コンピュータに残されたメッセージに挑む犀川助教授とお嬢様学生・萌絵。


孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季(まがたしき)。
彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。
偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平(さいかわそうへい)と女子学生・西之園萌絵(にしのそのもえ)が、この不可思議な密室殺人に挑む。
新しい形の本格ミステリィ登場。

私は超文系人間です。
大学入試ではセンター試験での理科と数学の配点が少ない大学を選びましたし、大学入学後の一般教養の授業選択も、なるべく理系的な授業は避けていました。
そんな私が、森博嗣さんの『すべてがFになる』を読んでみました。
ミステリ好きのあいだではかなり有名な作品なのですが、「理系ミステリ」という触れ込みに恐れをなして、今まで手が伸びなかったのです。


確かにかなりの理系用語&理系人間が出てきます。
なんだかイマイチよく分からない部分も多かったです。
特にトリックは私には難解すぎでした。
こんなん絶対分からんって。
すべてがFになる」という言葉の意味も、分かって「なるほど〜」と思うよりは「ふぅ〜ん」って感じでしたし。
普段から理系環境の中ですごしている人だったら途中でトリックが分かったりするのかな。
私には一生かかっても無理なような気がする…。


でも、そういう理系的側面はさておいて、登場人物のキャラクター性とかストーリー展開には十分な魅力がありました。
なんだかよく分からないジョークを飛ばす犀川先生とか、世間知らずなお嬢様っぷりが憎めない萌絵とか、マニアックな研究者たちとか、登場人物がみんな個性的で面白い。
密室や謎だらけの人物など、ミステリーには欠かせない小道具(?)もちゃんと登場します。
謎解きが分からなくても、十分に読みどころはある作品でした。
というよりもむしろ、そうでなければ私は途中で投げ出していたかもしれません。
たまにはこういう、自分が分からない世界をのぞいてみるのもいいですよね。