tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

『震える岩 霊験お初捕物控』宮部みゆき

震える岩 霊験お初捕物控 (講談社文庫)

震える岩 霊験お初捕物控 (講談社文庫)


ふつうの人間にはない不思議な力を持つ「姉妹屋」のお初。
南町奉行の根岸肥前守に命じられた優男(やさおとこ)の古沢右京之介と、深川で騒ぎとなった「死人憑き」を調べ始める。
謎を追うお初たちの前に100年前に起きた赤穂浪士討ち入りが……。
「捕物帳」にニュー・ヒロイン誕生!
人気作家が贈る時代ミステリーの傑作長編。

ついに手付かずだった宮部みゆきの時代小説に挑戦してみました。
それが本書『震える岩 霊験お初捕物控』。
父が時代小説好きで、家には時代小説が山ほどあり、その中には宮部さんの作品も何冊かあったのですが、いつも少し読みかけてはすぐに挫折していました。
なぜ私はこんなに時代小説が苦手なんだろう?
古文も日本史も嫌いではなかったのですが。


今回初めて時代小説を最後まで読み通してみて、少しその原因がわかったような気がします。
どうも、現代小説とは少し違う言葉回しが性に合わないらしいです。
「奉行」だの、「捕物」だの、「下手人」だのといった時代小説独特の用語にもなじみがなく、今ひとつ意味がつかめないんですよね。
TVの時代劇もあまり好きではない方ですし。
今回『震える岩』を読んでいても、意味が分からなかったり読み方が分からない言葉がけっこう出てきました。
「日本語なのに分からない」というのがストレスになって、結果読むのが嫌になるようです。


残念ながら苦手を克服するとまではいかなかったけれど、それなりにこの作品は楽しめました。
なんと言ってもヒロインのお初が魅力的。
宮部氏お得意の超能力を持つ主人公ですが、超能力+捕物帖という組み合わせが意外で面白い。
お初の年頃の娘らしい好奇心と優しさと強さには好感を持てました。
パートナー(?)の右京ノ介にはどうやらほのかな恋心を抱いているようですが、この初々しいふたりが今後どうなっていくのか気になるところです。
だから続編の『天狗風』も読むかもしれません。
でも惜しむらくは私が時代劇音痴なせいで、『忠臣蔵』の話をよく知らず、この作品の謎解き部分を細部まで楽しむことができなかったことですね。
私が時代小説を楽しむためには、もう少し勉強する必要がありそうです。