tontonの終わりなき旅

本の感想、ときどきライブレポ。

BOOK REVIEW

『殺しへのライン』アンソニー・ホロヴィッツ / 山田蘭 (訳)

殺しへのライン (創元推理文庫 Mホ 15-7)作者:アンソニー・ホロヴィッツ,山田 蘭東京創元社Amazon 『メインテーマは殺人』の刊行まであと3ヵ月。プロモーションとして、探偵ダニエル・ホーソーンとわたし、作家のアンソニー・ホロヴィッツは、初めて開催さ…

『本を守ろうとする猫の話』夏川草介

本を守ろうとする猫の話 (小学館文庫)作者:夏川草介小学館Amazon 「お前は、ただの物知りになりたいのか?」 夏木林太郎は、一介の高校生である。幼い頃に両親が離婚し、さらには母が若くして他界したため、小学校に上がる頃には祖父の家に引き取られた。以…

『Iの悲劇』米澤穂信

Iの悲劇 (文春文庫 よ 29-3)作者:米澤 穂信文藝春秋Amazon Iターンプロジェクト担当公務員が直面するのは、過疎地のリアルと、風変わりな「謎」――。 無人になって6年が過ぎた山間の集落・簑石を再生させるプロジェクトが、市長の肝いりで始動した。 市役所の…

『魔眼の匣の殺人』今村昌弘

魔眼の匣の殺人 (創元推理文庫 Mい 12-2)作者:今村 昌弘東京創元社Amazon その日、神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と剣崎比留子を含む9人が、人里離れた班目機関の元研究施設“魔眼の匣”を訪れた。その主であり、予言者として恐れられている老女は、来訪者に…

『落日』湊かなえ

落日 (ハルキ文庫 み 10-3)作者:湊 かなえ角川春樹事務所Amazon わたしがまだ時折、自殺願望に取り付かれていた頃、サラちゃんは殺された── 新人脚本家の甲斐千尋は、新進気鋭の映画監督長谷部香から、新作の相談を受けた。 十五年前、引きこもりの男性が高…

『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』青柳碧人

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。 (双葉文庫)作者:青柳 碧人双葉社Amazon 日本の昔話をミステリで読み解き好評を博した『むかしむかしあるところに、死体がありました。』に続き、西洋童話をベースにした連作短編ミステリが誕生しました。 今作の主人公は…

『イマジン?』有川ひろ

イマジン? (幻冬舎文庫 あ 34-8)作者:有川 ひろ幻冬舎Amazon 「朝五時。渋谷、宮益坂上」。 その9文字が、良井良助の人生を劇的に変えた。飛び込んだのは映像業界。物語と現実を繫げる魔法の世界にして、ありとあらゆる困難が押し寄せるシビアな現場。だがそ…

『いけない』道尾秀介

いけない (文春文庫 み 38-5)作者:道尾 秀介文藝春秋Amazon ラスト1ページですべてがひっくり返る。 話題の超絶ミステリがついに文庫化! 各章の最後のページに挟まれた「写真」には、物語ががらりと変貌するトリックが仕掛けられていて……。 2度読み確実!あ…

『風と行く者 守り人外伝』上橋菜穂子

風と行く者 (新潮文庫)作者:上橋 菜穂子新潮社Amazon つれあいの薬草師タンダと草市をおとずれた女用心棒バルサは、二十年前にともに旅したことのある旅芸人サダン・タラムの一行と偶然出くわし、再び護衛を引き受ける。 魂の風をはらむシャタ〈流水琴〉を奏…

『おいしい旅 想い出編』アミの会

おいしい旅 想い出編 (角川文庫)作者:秋川 滝美,大崎 梢,柴田 よしき,新津 きよみ,福田 和代,光原 百合,矢崎 存美KADOKAWAAmazon 15年ぶりに再会した友人と訪れた京都。昔話に花を咲かせるが、みなそれぞれに事情を抱えていて……(「あの日の味は」)。亡くした…

『おいしい旅 初めて編』アミの会

おいしい旅 初めて編 (角川文庫)作者:近藤 史恵,坂木 司,篠田 真由美,図子 慧,永嶋 恵美,松尾 由美,松村 比呂美KADOKAWAAmazon 仕事に行き詰まり、勢いで列車に乗り終点まで……旅先では驚きの出会いが待っていた(「下田にいるか」)。福引きで旅行券を引き当て…

『希望の糸』東野圭吾

希望の糸 (講談社文庫)作者:東野 圭吾講談社Amazon 小さな喫茶店を営む女性が殺された。 加賀と松宮が捜査しても被害者に関する手がかりは善人というだけ。 彼女の不可解な行動を調べると、ある少女の存在が浮上する。 一方、金沢で一人の男性が息を引き取ろ…

『熱源』川越宗一

熱源 (文春文庫 か 80-2)作者:川越 宗一文藝春秋Amazon 樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふ…

『クジラアタマの王様』伊坂幸太郎

クジラアタマの王様 (新潮文庫)作者:伊坂 幸太郎新潮社Amazon 記憶の片隅に残る、しかし、覚えていない「夢」。自分は何かと戦っている? ――製菓会社の広報部署で働く岸は、商品への異物混入問い合わせを先輩から引き継いだことを皮切りに様々なトラブルに見…

『四畳半タイムマシンブルース』森見登美彦 / 原案・上田誠

四畳半タイムマシンブルース (角川文庫)作者:森見 登美彦KADOKAWAAmazon 8月12日、クーラーのリモコンが壊れて絶望していた「私」の目の前にタイムマシンが現れた。後輩の明石さんたちと涼しさを取り戻す計画を立て、悪友どもを昨日へ送り出したところでふと…

『黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続』宮部みゆき

黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続 (角川文庫)作者:宮部 みゆきKADOKAWAAmazon 文字は怖いものだよ。遊びに使っちゃいけない――。江戸は神田にある袋物屋〈三島屋〉は、一風変わった百物語を続けている。これまで聞き手を務めてきた主人の姪“おちか”の嫁…

『むらさきのスカートの女』今村夏子

むらさきのスカートの女 (朝日文庫)作者:今村 夏子朝日新聞出版Amazon 「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。ベストセラーとなった…

『臨床の砦』夏川草介

臨床の砦 (小学館文庫 な 13-7)作者:夏川 草介小学館Amazon 小さな病院は命がけでコロナに立ち向った。 『神様のカルテ』著者、最新作! 感染症指定医療機関でコロナ禍の最前線に立ち続ける現役医師が自らの経験を克明に綴った記録小説! 「神様のカルテ」シ…

『傑作はまだ』瀬尾まいこ

傑作はまだ (文春文庫 せ 8-4)作者:瀬尾 まいこ文藝春秋Amazon 「実の父親に言うのはおかしいけど、やっぱりはじめましてで、いいんだよね?」 そこそこ売れている引きこもりの作家・加賀野の元へ、生まれてから一度も会ったことのない25歳の息子・智が突然…

『カエルの小指 a murder of crows』道尾秀介

カエルの小指 a murder of crows (講談社文庫)作者:道尾 秀介講談社Amazon 「久々に、派手なペテン仕掛けるぞ」 詐欺師から足を洗い、実演販売士として生きる道を選んだ武沢竹夫に、訳ありの中学生・キョウからとんでもない依頼が。 母親が残酷な詐欺被害に…

『うつくしが丘の不幸の家』町田そのこ

うつくしが丘の不幸の家 (創元文芸文庫 LA-ま 1-1)作者:町田 そのこ東京創元社Amazon 築21年の三階建て一軒家を購入し、一階部分を店舗用に改築。美容師の美保理にとって、これから夫の譲と暮らすこの家は、夢としあわせの象徴だった。朝、店先を通りかかっ…

『イエロー・サブマリン 東京バンドワゴン』小路幸也

イエロー・サブマリン 東京バンドワゴン (集英社文庫)作者:小路 幸也集英社Amazon 堀田家は朽ち果てそうな日本家屋で「東亰バンドワゴン」という古書店を営んでおります。店主の勘一も米寿、曽孫の花陽も成人とおめでたい日を皆で祝うこともできました。作家…

『祝祭と予感』恩田陸

祝祭と予感 (幻冬舎文庫)作者:恩田 陸幻冬舎Amazon コンクール入賞者ツアーのはざま、亜夜とマサルとなぜか塵が二人の恩師・綿貫先生の墓参りをする「祝祭と掃苔」。菱沼が課題曲「春と修羅」を作曲するきっかけとなった忘れ得ぬ教え子への追憶「袈裟と鞦韆…

『いもうと』赤川次郎

いもうと (新潮文庫)作者:赤川 次郎新潮社Amazon 本当に、一人ぼっちになっちゃった……。大好きな姉・千津子に続いて母も亡くし、父は別の家庭へ。高校を出て就職し、中堅社員として働く実加の前に突然現れたのは、見知らぬ女の子だった! 『ふたり』から11年…

『ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~』三上延

ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~ (メディアワークス文庫)作者:三上 延KADOKAWAAmazon 春の霧雨が音もなく降り注ぐ北鎌倉。古書に纏わる特別な相談を請け負うビブリアに、新たな依頼人の姿があった。 ある古書店の跡取り息子の死により遺された…

『勿忘草の咲く町で 安曇野診療記』夏川草介

勿忘草の咲く町で 安曇野診療記 (角川文庫)作者:夏川 草介KADOKAWAAmazon 美琴は松本市郊外の梓川病院に勤めて3年目の看護師。風変わりな研修医・桂と、地域医療ならではの患者との関わりを通じて、悩みながらも進む毎日だ。口から物が食べられなくなったら…

『うしろから歩いてくる微笑』樋口有介

うしろから歩いてくる微笑 (創元推理文庫 M ひ 3-18)作者:樋口 有介東京創元社Amazon 鎌倉在住の薬膳研究家、もちろん美女と知り合った柚木草平。高校時代に失踪した同級生の目撃情報が鎌倉周辺で増えているので調べてほしいと、彼女に頼まれる。早速、鎌倉…

『ベルリンは晴れているか』深緑野分

ベルリンは晴れているか (ちくま文庫)作者:深緑 野分筑摩書房Amazon 1945年7月、ナチス・ドイツの敗戦で米ソ英仏の4カ国統治下におかれたベルリン。ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が米国製の歯磨き粉に含まれた毒による不審死を遂げる。米国の兵員…

『きたきた捕物帖』宮部みゆき

【Amazon.co.jp 限定】きたきた捕物帖 (特典:スマホ壁紙画像データ配信) (PHP文芸文庫)作者:宮部 みゆきPHP研究所Amazon まだ下っ端の見習い岡っ引きの北一(16歳)は、亡くなった千吉親分の本業だった文庫売り(本や小間物を入れる箱を売る商売)で生計を立…

『流浪の月』凪良ゆう

流浪の月 (創元文芸文庫 LA な 1-1)作者:凪良 ゆう東京創元社Amazon あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。再会…